株式投資と「プロ野球の球団経営」は似ている…“人気株だらけのポートフォリオ”では勝てない理由【マクロストラテジストが解説】

株式投資と「プロ野球の球団経営」は似ている…“人気株だらけのポートフォリオ”では勝てない理由【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資におけるポートフォリオづくりとプロ野球の球団運営は似ていると、フィデリティ・インスティテュートの首席研究員・重見吉徳マクロストラテジストはいいます。来年1月から始まる新NISAに向けて、どのようなポートフォリオを組むべきなのでしょうか。本記事では、野球におけるスターティング・オーダーにたとえながら、長期的に株式投資を続けるコツを解説します。

ポートフォリオの傾向を「プロ野球の球団経営」にたとえると…

米メジャー・リーグでは、毎年7月を過ぎると、プレーオフに進出できそうなチームと、難しそうなチームのあいだで経営戦略が分かれます。

 

プレーオフに進出できそうなチームはトレードで即戦力を獲得し、代わりに将来有望な若手(→「プロスペクト」と呼ばれる)を放出します。プレーオフ進出を争うライバル・チームも同じ動きをして補強を試みるので、自分たちもそうせざるを得ない「囚人のジレンマ」(ゲーム理論の主要な示唆のひとつ)が生じます。

 

たとえば、ロサンゼルス・エンゼルスは8月1日のトレード期限までに8人の選手を補強し、若手を放出しました。仮に補強をせず、逆に今シーズンで契約が切れてフリー・エージェントになる大谷翔平選手をトレードに出せば、将来有望な若手数名を獲得できました。

 

しかし、エンゼルスは今シーズンのプレーオフ進出に賭けて彼を残留させました*。こうしたチームは「いまを重視している」といえるでしょう。*大谷選手との契約延長への期待も残留や補強に影響したでしょう。

 

他方で、プレーオフ進出が難しそうなチームはトレードで即戦力を手放し、代わりに将来有望な若手を獲得します。

 

今年はニューヨーク・メッツの決断が話題になりました。メッツは一昨年と昨年オフに大金をかけ、ともにサイ・ヤング賞(→年間最優秀投手に贈られる賞)を3回獲得した2人の剛腕、マックス・シャーザー投手とジャスティン・バーランダー投手と契約、今シーズンのワールド・シリーズ進出を目指しました。

 

しかし、チームは精彩を欠き、早くも6月にプレーオフ進出が「望み薄」と判断すると、8月1日のトレード期限までに両投手を相次ぎ放出しました。現在は、2025年以降のワールド・シリーズ進出を目指し、有望な若手を獲得・育成するとして方針転換しています。こうしたチームは「将来を重視している」といえるでしょう。

 

次ページ人気株で打線を組むなら

【ご注意】
※本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

【参考文献】
・Ray Dalio (2018,2022) “Principles for Navigating Big Debt Crises”, Bridgewater Associates, Avid Reader Press / Simon & Schuster

・西野智彦 (2019) 『平成金融史-バブル崩壊からアベノミクスまで』中公新書、中央公論社

・リチャード・クー (2013) 『バランスシート不況下の世界経済』徳間書店

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧