(※写真はイメージです/PIXTA)

「一生に一度の買い物だから」を言い訳に、マイホームは予算以上になりがち。経済的に余裕のある人たちであればなおさらです。しかし、余裕だと思っていた住宅ローン返済が、ちょっとした想定外で苦しくなることもまたよくある話。FP1級の川淵ゆかり氏が、あるパワーカップルを例に適切なローンプランを考えていきます。

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    Aさん夫婦の住宅ローンの失敗要因

    Aさん夫婦は貯蓄がほとんどありませんが、住宅ローンを最後まで払い続けるためには、「頭金」の準備も必要ですし、新築マンションの場合は価格の3~5%の諸費用も必要です。そして、万が一に備えるために半年~1年程度の「生活予備費」も残しておかないといけません。これらの金額の準備もなく、いきなり住まいを購入してしまうのは非常に危険です。

     

    さらに金融機関側の「貸せる金額」が「返せる金額」とも限りません。最大限の金額ではなかったとはいえ、1億円も借りてしまうのはやはり無謀です。借りるときは返せる金額だったとして、返済期間中は何が起きるかわかりませんし、年齢が進むにつれて収入ダウンは必ずあると考えて借入金額や住まいの購入金額を算出する必要があります。

     

    借入期間にも問題があります。当然のように35年返済で契約されていますが、35年後にはAさんの年齢は72歳、奥さんは70歳になっています。よく「繰り上げ返済すればいい」と考える人もいますが、予想外の収入ダウンや物価の値上がりで、思ったよりも繰り上げ返済が進まない人たちも増えています。

     

    それまでの家賃と同じくらいの返済金額に抑えておけば、住宅ローンに悩まされることもなかったでしょう。家賃の金額を基準に借入金額を算出すると次のようになります。

     

    ●住宅ローン借入額:4,400万円

    ●返済期間:28年(65歳完済)

    ●変動金利型:1%(団体信用保険料込み)

    ●ボーナス返済:無し 

    ●毎月返済額:150,194円

     

    これを基準に、将来も余裕で返済できそうだ、と判断するのであれば借入額は増やしてもいいでしょうし、将来の返済が難しくなる、と判断するのであれば借入金額をさらに減らす、という考えで住まいの購入金額を決めていきましょう。

    子のない夫婦…理想の住宅ローンとは

    よく「家は一生に一度の買い物」と言われるため、これが最初で最後と思い、ついつい予算が大きくなってしまうケースは多いものです。しかし、筆者は「住まいは一生に一度の買い物ではありませんよ」とアドバイスしています。

     

    人生100年時代と言われ、長生きできるようになったので、住宅ローンが完済する頃には住まいも傷み、大幅なリフォームが必要になります。Aさんのようにお子さんのいないご夫婦であれば、配偶者の死亡で一人暮らしになることを考えなければなりませんし、老人ホームへの入所を考えるなら、さらに大きなお金がかかります。空き家問題の深刻化に伴い、空き家は増加。それに伴い住宅の売却価格は下がるとも予想され、住んでいた家の売却資金で老人ホームの入所資金が作れる保証もありません。

     

    さらに、円安による原材料の値上げや労働力不足による人件費アップは今後も続いていくと考えられますので、将来、リフォームが必要な時期や老人ホームの入居する時期にかかる費用も大きな金額になっているはずです。

     

    また、老後に頼れるお子さんがいないとなると、入院や介護施設に入所の際に必要とされる身元保証人がいないことで、身元保証会社にお願いする際のまとまったお金も必要です。住宅ローンは借りてしまった後に迷ったり悩んだりする人が多いもの。人生に大きな影響を与える住宅ローン。ぜひ、借りる前に将来のことをしっかり考えて決めるようにしてください。

     

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