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20年で約2倍に急増「空き家問題」と固定資産税
遠方にある実家を相続したものの、どうしたらいいか分からず、そのまま放置してしまっているという方は少なくないのではないでしょうか。総務省の『平成30年住宅・土地統計調査』によると、こうした賃貸用ではない住宅の空き家数が2018年時点で全国に349万戸も存在すると公表されています。この数字は、1998年の182万戸から大幅に増加し、20年間で約1.9倍になっています。
空き家が増えると何が問題なのかと思う方もいるかもしれません。空き家の一番の問題点は、管理されずに放置された空き家が近隣の住民に迷惑をかけてしまうことがあるということです。空き家として放置されるのには様々な理由がありますが、よくあるケースとしては冒頭のように実家を相続で取得したというケースです。実家を利用する予定は無いものの、「売却や賃貸に出すことには抵抗がある」「田舎で買い手や借り手が見つからない」という話を聞かれたこともあるのではないでしょうか。
こういった空き家を所有している場合には、固定資産税や都市計画税(以下「固定資産税等」といいます。)を支払わなければならないという問題も生じます。原則として、固定資産税は土地や建物の評価額の1.4%、都市計画税は評価額の0.3%で合計1.7%の税金が発生します。ただし、住宅用の土地は評価額を最大で1/6に軽減するという特例がありますので、多くの住宅は固定資産税等の金額が軽減されており、これは空き家であっても同様に計算されています。
誰かが住んでいる間は、この特例を気にする必要はありませんが、空き家の場合には少し話が変わってきます。というのも、2015年に施行された空き家対策特別措置法で、近隣の生活環境を害している「特定空家」については、固定資産税を最大1/6に軽減する特例の対象外となっているからです。特定空家とは、そのまま放置すれば倒壊の恐れがある状態など周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家のことをいいます。
さらに2023年6月に法律が改正され、「管理不全空家」に該当する場合にも、固定資産税が最大6倍に高くなることが決定しています(2023年10月時点では未施行)。
「実家を相続したけど、遠方にあるから、もう、住まないわね」と放置していると、管理不全空家に指定され、税金が6倍に……「何かの間違いでは?」となんとも寝耳に水な話が今後増えていきそうです。
管理不全空家は、特定空家よりもさらに広い範囲の空き家を指定しており、放置すれば特定空家になる恐れのあるものと決められています。平成30年度住宅・土地統計調査によると、現存する特定空家は2万戸に対して、現存する管理不全の空き家は23.5万戸と報告されています。すべてが今回の改正の管理不全空家に該当するという訳ではありませんが、現在の特定空家の10倍以上の空き家が管理不全空家と指定されてしまう可能性があると言えます。
管理不全空家の具体的な要件は、これから各市区町村で決められていくことになりますが、おおよそ次のような状態の空き家が対象になると想定されています。
・窓が割れている
・雑草や立ち木が生い茂っている
・動物が住み着いている
こういった状態の空き家が特定空家や管理不全空家として指定されるまでの流れも説明します。
発端は近隣住民などからの通報や苦情となることが多いです。その後、市区町村が現地調査などを行い、必要に応じて所有者に改善の助言や指導が行われます。それでも改善されないときに、勧告という処分がなされて、特定空家や管理不全空家として指定されることになります。この指定を受けるとその翌年から固定資産税の金額が高くなってしまいますので、注意が必要です。
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