親子間でも「証拠のないお金の貸借」は税務調査で指摘される
Q
オーナー(同族特殊関係者)と同族法人との間の金銭消費貸借契約に係るエビデンスについて教えてください。
A
実務ではそもそも作成をしていないケースが多いのですが、相続税申告や残余財産の分配、DES等々、その実在性について検討しなければならない事態に非常に多く遭遇します。このため下記のエビデンスについて日頃の実務から作成する必要があります。
「親が貸主、子が借主」で金銭消費貸借の契約をする場合
契約書を作成したうえで、通帳を通した貸借をして記録に残す
金銭消費貸借契約書
貸主〇〇(甲)、借主〇〇(乙)は、次の通り金銭消費貸借契約を締結した。
第1条 甲は、乙に対し、金〇万円を以下の約定で貸付け、乙は、これを借受け、受領した。
第2条 乙は、甲に対し、前条の借入金〇万円を、令和〇年〇月から令和〇年〇月まで毎月〇日限り、金〇万円を〇回の分割で、甲に持参又は甲の指定する銀行口座に送金して支払う。ただし甲乙間の合意をもって1年分後払いも許容される。
第3条 本件貸金の利息は、前月支払い後の残金に対する年〇パーセントの割合とし、乙は、毎〇日限り当月分を甲方に持参又は送金して支払う。ただし、甲乙間の合意を持って1年後後払いも許容される(1)。
第4条 乙は、次の事由の一つでも生じた場合には、甲からの通知催告がなくても乙は当然に期限の利益を失い、直ちに元利金を支払う。
① 第2条の分割金又は第3条の利息を、2回以上連続で支払わないとき。
② 他の債務につき仮差押、仮処分又は強制執行を受けたとき。
③ 他の債権につき債務整理又は破産、再生手続開始の申立を受けたとき。
④ 乙が、甲に通知なくして住所を変更したとき。
⑤ その他本契約の条項に違反したとき。
第5条 期限後又は期限の利益を喪失したときは、以後完済に至るまで、乙は、甲に対し、残元金に対する年 パーセントの割合による遅延損害金を支払う。
第6条 本契約から発生する紛争の第一審の管轄裁判所は、甲の住所地を管轄する裁判所とする。
上記の通り甲乙間に消費貸借契約が成立したことの証しとして、本契約書2通を作成し、甲乙が署名押印の上、各1通ずつを保持する。
令和 年 月 日
貸主(甲) 住所
氏名 印
借主(乙) 住所
氏名 印
利率を考慮するのは、元本が非常に大きい場合のみ
(1)
親子間なので利率の設定まで神経質になる必要はありません(相基通9-10)。元本が大きいもののみ配慮すべきです。
元本:1年後1年分後払い、返済は必須(贈与認定回避)
利息:1年後1年分後払い
でも問題ありません。
非常に元本が大きく仮に利率を考慮するなら適正な利率の決定として、
・平均調達金利
・無借金の場合、短期プライムレート以下の金額
になります。法人間と同様の設定でも問題ありません。
上掲契約書の他に通帳間を通した元本の返済が必要です。現金授受では疎明力が一切ありません。
借主が未成年者など幼児の場合、法定代理人親署名押印が必要です。この場合、印鑑は別にします。計3種の印鑑が必要になります。
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