「固定資産税」、実は払い過ぎの可能性も…課税ミスによる「過払い」が認められた“意外な証拠”【税理士が解説】

「固定資産税」、実は払い過ぎの可能性も…課税ミスによる「過払い」が認められた“意外な証拠”【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

固定資産税とは、所有する不動産に対して課せられる税金です。かかる税額は資産の評価によって変動するため、増築で床面積が増えれば固定資産税も上がるとされています。では、不動産の評価について不服がある場合、どのような証拠が有効となるのでしょうか。本記事では、増築した不動産の税額変更処分が取消となった事例について、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より、同氏が解説します。

固定資産税の評価をめぐり、航空写真が証拠となった事例

Q 

不動産と資産税についてエビデンスとして考えられるものを教えてください。

 

A

一般的な証拠は、総論で述べた資料で足ります。ここでは、それの補足としての証拠を検証します。

 

航空写真が証拠となり、固定資産税の税額変更処分取消が認められた事例

下記の裁決は航空写真が証拠として提出されています。

 

〇固定資産税等の税額変更処分/航空写真による家屋の増築時期の推測(令01-07-19裁決 一部取消し TAINSコードF0-7-030)

 

本件は、処分庁が、請求人自宅家屋の増築部分(本件家屋)につき、その建築年を平成26年と認定して、請求人等に対する平成27年度分から平成30年度分までの各年度に係る固定資産税等の税額変更(賦課決定)処分(本件各処分)を行ったところ、請求人が、「平成26年に増築したと主張する行政側の事実認定疎明資料が存在せず、増築年月日の事実認定が成されない上での課税は納得出来ない」等と主張し、本件各処分の取り消しを求めた事案です。

 

審査庁(相模原市長)は次のとおり判断し、平成27年度分に係る上記処分を取り消しました。

 

平成26年1月12日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていないが、平成27年1月3日に撮影された航空写真には本件家屋が写っていること、また、処分庁が相模原市行政不服審査会に提出した平成27年11月27日時点における外観写真から、平成27年11月27日に本件家屋が課税要件を満たしていたことについては確証を得ることができる。(※下線筆者)

 

これに対し、平成27年1月1日時点で課税要件を満たしていたことについて確認できる外観写真については、処分庁からは提出されなかったこと等から、賦課期日である平成27年1月1日時点で本件家屋が課税要件を満たしていたとの確証は得られず、(※下線筆者)本件家屋は、平成26年中に建築されたことについては推測の域を出ない。

 

境界確定訴訟において有効となる「航空写真」

航空写真は一般的には境界確定訴訟において筆界、公法上の境界を判断、再現するための証拠として利用されます。課税時期前後において増改築について事実認定に着地することが予想できそうな場合、現地写真の補完として航空写真を入手します。

 

 

伊藤 俊一

税理士

 

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