(※写真はイメージです/PIXTA)

扶養控除は、家族を扶養する場合に受けられる控除です。同じ家計において、養う子どもや親族がいる場合に受けられます。一方で、離婚後の養育費は、経済的な援助をしているという意味で、扶養控除の対象にできるのでしょうか。今回は離婚にかかわる控除や節税について、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より、同氏が解説します。

離婚後の扶養控除や財産分与について

Q

離婚とそのエビデンスについて教えてください。

 

扶養控除の適用を受けることについてのエビデンスについては、離婚協議書にその詳細を明記する必要があります。財産分与の分割払いについて、生活困窮以外の理由であれば離婚協議書、又は分割払いに至った後で作成する覚書で支払額、支払時期等をあらかじめ確定しておき、それに従い支払えば特段問題は生じません。

離婚後、養育費の支払いに「扶養控除」は認められるのか

生活費・養育費を元夫婦で別々に負担しているあいだは、「扶養控除」の対象になる

養育費と扶養義務者、扶養控除などの取扱いは下記です。

 

離婚に伴い、子に対する養育費の支払いが、①扶養義務の履行として、②「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われる場合には、その支払われている期間については、原則として「生計を一にしているもの」として扶養控除の対象とすることができます。

 

甲(夫)が丙(子)の学費である養育費を負担し、乙(妻)が丙(子)の生活費を負担しているので、甲、乙いずれもが丙と生計が一であり、丙を扶養していると考えられます。

 

「扶養控除」は元夫・元妻のどちらかにしか認められないので、協議が必要

このように、子が元夫の控除対象扶養親族に該当するとともに元妻の控除対象扶養親族にも該当することになる場合には、扶養控除は当然のことながら元夫又は元妻いずれか一方だけにしか認められません。

 

したがって、扶養控除の適用を受けることについてのエビデンスは、

 

・離婚協議書において、
 →養育費を支払っている親
 →もしくは実際に同居して生活全般の扶養をしている親
のいずれかにすることを、
 →離婚の協議内において、お互いに合意しておくべきもの

 

となります。

 

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