新型コロナウイルスの流行、円安による追い打ち
そんななか、新型コロナウイルスが流行り始め、Aさんのお店も当然のように打撃を受け、休業に追い込まれてしまいます。休業しても家賃や光熱費の固定費分は支払い続けなければいけません。Aさんは頭を抱えてしまいます。
そして、新型コロナが5類感染症に移行した現在もなんとかお店を続けているAさんですが、今度は円安によるコーヒー豆などの原材料費や電気料金・ガス料金の値上げ、さらにはアルバイトの賃金アップが新たな悩みの種となっています。
「このままの状態で続けていくと本当に老後破産です。もうダメだ。お店は閉めるしかありません。私には、サラリーマンは向いていたけれど、自営業は向いていなかったみたいです」と、Aさんは涙します。
(株)東京商工リサーチの調べによると、「2023年(1-8月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は、569件(前年同期比82.3%増、前年同期312件)に達した」と発表しています。
2023年8月時点で、2022年の年間(1-12月)の522件をすでに上回っており、コロナ禍での支援策が終了・縮小したことも大きく影響していますが、原材料費の値上げ分をなかなか価格に転嫁しにくい、といった背景もありそうです。
新型コロナも物価上昇も数年前には予測もできなかったことです。Aさんのように第二の人生を夢見て開業されて厳しい局面に立たされている方も多いと思います。
飲食店の経営は人気が高いですが廃業率も高い業種ですので、より一層の慎重さや丹念な経営計画が求められます。
日本の労働力が減ってくるなか、60歳以上の労働力も重要さがますます増してきますが、失敗しない働き方など若いうちから生涯のジョブプラン(働き方計画)を立てておきましょう。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走