定年後は自営業の喫茶店経営を始めた63歳・Aさん
シニアの独立で人気の高い業種に飲食店がありますが、そう簡単ではありません。定年後に喫茶店を始めたAさんの事例をご紹介します。
63歳のAさんは、スポーツやレジャー用品を扱う大手企業の営業部長(当時の月収70万円)を60歳で定年退職し、独立した方です(※ご本人の了解を得て、一部変更してご紹介します)。
サラリーマン時代のAさんは若いころから営業畑で、社用車で毎日のようにお得意様の企業や店舗を回っていました。部長に昇格して以降も社内でじっとしているのが性に合わなかったため、よく車で外回りをしたものです。
そんなAさんには、昔から休憩で入る馴染みの喫茶店やレストランなどがいくつかありました。郊外にある喫茶店のひとつもコーヒーがとても美味しく、Aさんのお気に入りで長年通い詰めている場所でした。
Aさんが定年も目前となってきた58歳のころのある日。定年後はどうするかと悩んでいたときもこの喫茶店にふらっと入り、考え込んでいました。
住宅ローンもすでに完済し、2人の息子も社会人として独立しているとはいえ、特に資格や特技があるわけではありません。「特別支給の老齢厚生年金」も数年後から受け取ることができ、退職金もあるのですが、定年退職後は特にすることもなくしばらくは無収入となってしまいます。
若いころから明るく積極的な性格のため、家でじっとしていることも苦手です。ゴルフなどで外に遊びに出ると奥さんにも怒られそうです。
いつものお気に入りの席でコーヒーを飲んでいたAさんですが、思わずため息をついてしまい、すっかり打ち解けたマスターに声をかけられました。
「Aさんも定年ですか。そういえば長い付き合いになりましたね。実は私もそろそろこの店を閉めようと思っているんですよ」
聞けばマスターも80代になっていて後継者もいないため、閉店の決心をしたそうです。
Aさんは思わず「是非、私にやらせてもらえないでしょうか?」と声を発していました。
それからのAさんは、仕事帰りや休日にお店に行き、マスターからコーヒーの淹れ方などの指導を受けました。さらにカレー作りも得意なAさんはランチの目玉メニューとしてオリジナルカレーの開発にもいそしみました。お店は賃貸で借りることにして、内装や厨房の一部の改装に数百万円を投じ、定年後に新しい第二の人生をスタートさせることができたのです。
「喫茶店を始めたことで、自営業だから働きながらも年金はカットされないし、サラリーマン時代にはいろいろなことがあったけれど、老後の楽しみとして好きなことでお金が稼げる。なにより定年後に夢中になれることができたこと、そこに一番の喜びを感じています」そう語るAさんは大変輝いていました。
Aさんは努力の結果、コーヒーはマスターの味に近づけることができました。開店当初は友達も来てくれたり昔からの常連も来てくれたりしたのですが、そのうち少しずつ客足が遠のいていきます。
コーヒーの味はほとんど変わらないところまで腕を上げたつもりですが、マスターがいなくなったり内装が変わったりしたせいでしょうか、雰囲気が変わったことに敏感な常連のお客さんが来てくれなくなったような気がします。
また、大手チェーン店の手軽な価格のコーヒーも多いなか、新規顧客の獲得にも苦戦します。Aさんはだんだんと焦ってきました。
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