(写真はイメージです/PIXTA)

実質GDP成長率は、2023年度が1.5%、2024年度が1.4%と予想されています。輸出が景気の牽引役となることは当面期待できず、日本経済は内需中心の成長が続く可能性が高いといいます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏が2023・2024年度経済見通しについて解説します。

2. 実質成長率は2023年度1.5%、2024年度1.4%を予想

2023年4-6月期のGDP2次速報を受けて、8/16に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2023年度が1.5%、2024年度が1.4%と予想する。2023年4-6月期の実績値が下振れたことを受けて、2023年度の成長率見通しを▲0.1%下方修正した。

 

国内需要中心の成長が続く

2023年4-6月期は外需が成長率を大きく押し上げたが、輸出の高い伸びは1-3月期の落ち込みの反動による部分も大きい。7-9月期以降はインバウンド需要を中心にサービス輸出の増加が続くものの、海外経済の減速を背景に財輸出は低迷する可能性が高い。輸出が景気の牽引役となることは当面期待できないだろう。

 

一方、民間消費は社会経済活動の正常化を受けて、対面型サービスを中心に回復し、設備投資は高水準の企業収益を背景に増加傾向が続くだろう。日本経済は内需中心の成長が続くことが予想される。

 

2023年7-9月期は、輸出が低い伸びにとどまる中で、輸入が4-6月期の落ち込み(前期比▲4.4%)の反動で大幅増加となり、外需が成長率を大きく押し下げることから、実質GDPは前期比年率▲0.8%と4四半期ぶりのマイナスになると予想する。民間消費などの内需は底堅さを維持するものの、外需の落ち込みが大きいため、マイナス成長は避けられないだろう。

 

米国が小幅ながらマイナス成長となる2024年1-3月期は、輸出の減少を主因として年率ゼロ%台の低成長となるが、海外経済の持ち直しが見込まれる2024年度入り後は輸出の回復を主因として成長率が高まるだろう。

 

2023年度の名目GDP成長率は32年ぶりの高水準へ

名目GDPは実質GDPを上回る高い伸びが続いている。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターが上昇するもとで、GDPの控除項目である輸入デフレーターが低下しているため、GDPデフレーターが大幅に上昇している。

 

GDPデフレーターは2023年4-6月期の前年比3.5%から7-9月期に同4.5%まで伸びを高めた後、ピークアウトする公算が大きいが、2023年度のGDPデフレーターは前年比3.2%となり、2022年度の同0.7%から大きく加速するだろう。

 

この結果、2023年度の名目GDP成長率は4.7%となり、1991年度1(5.3%)以来、32年ぶりの高さとなることが予想される。

 

 


1 GDP統計の簡易遡及系列による

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月8日に公開したレポートを転載したものです。

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