(※写真はイメージです/PIXTA)

ドラマや映画でも有名な、ペリーによる「黒船来航」(1853年)。これにより鎖国が終わり、近代日本へと向かっていったことはなんとなくわかってはいても、この背景や詳しい中身についてはあまり知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、有名予備校講師で『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)著者の山中裕典氏が、1840~50年代の開国が日本にもたらした影響について解説します。

日米修好通商条約の「不平等性」

和親条約で許されなかった自由貿易を実現すべく、アメリカは通商条約の締結を日本に迫りました

 

下田に着任した総領事[そうりょうじ]ハリスは幕府と交渉を始め、アロー戦争(イギリス・フランスが清[シン]に仕掛けた戦い)の状況を幕府に説くと、幕府は日米修好通商[しゅうこうつうしょう]条約(1858)を結んで自由貿易を許可しました。

 

神奈川(実際は横浜)・長崎・新潟・兵庫(実際は神戸)の開港と下田の閉港が規定されたものの、新潟と兵庫は開港が遅れ、横浜・箱館・長崎で貿易が始まりました。一方、外国人の居住を開港場の居留地[きょりゅうち]に限定し、日本国内での外国人の内地雑居[ないちざっきょ]を認めなかったことで、欧米の経済的侵略を防ぎました。

 

しかし、協定関税[きょうていかんぜい]制領事裁判[りょうじさいばん]権の承認が規定されました。

 

安い外国の品が輸入されると日本の品は売れませんが、関税をかけると日本の品は売れるようになります。関税は国内産業を保護する機能を持ち、輸入側が一方的に関税率を決めることは主権の行使に該当するので(関税自主権[かんぜいじしゅけん])、関税率を日米で定める協定関税制は日本の主権が独立していないことになります。

 

出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表4]関税自主権(シミュレーション) 出所:『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より抜粋

 

また、日本でのアメリカ人の犯罪を領事がアメリカの法で裁く領事裁判は、日本にいるアメリカ人に日本の法が及ばず治外法権[ちがいほうけん])、日本の主権が侵害されていることになります。

 

最終的に、日本は米・蘭・露・英・仏と通商条約を結びました(安政[あんせい]の五カ国条約)。そして、批准[ひじゅん](各国政府の承認)の書面交換のための使節をアメリカへ派遣する際、咸臨丸[かんりんまる]勝海舟[かつかいしゅう]が艦長)が同行しました。

 

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※本連載は、山中裕典氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる日本史

大人の教養 面白いほどわかる日本史

山中 裕典

KADOKAWA

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