(写真はイメージです/PIXTA)

住宅市場では、価格が上昇するなか、マンションの新規発売戸数や成約件数は減少傾向にあります。東京のオフィス市場では成約賃料の下落が続き、23区のマンション賃料は、全タイプが前年比プラスになりました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が経済・住宅市場の動向について分析します。

1―経済動向と住宅市場

2023年4-6月期(1次速報)の実質GDPは前期比+1.5%(前期比年率+6.0%)と3四半期連続のプラス成長、外需が成長率を押し上げたほか、インバウンド需要の回復を主因としたサービスの増加が寄与した。
 

4-6月期の鉱工業生産指数は前期比+1.3%と3四半期ぶりの増産となった[図表1]。業種別では、供給制約緩和により自動車が高い伸び(前期比+5.9%)となったほか、鉄鋼(+1.9%)、非金属(+2.1%)、電子部品・デバイス(+2.8%)も堅調な動きとなった。

 

 

住宅市場では住宅価格が上昇するなか、住宅供給量は減少している。

 

4-6月の累計は、それぞれ新設住宅着工戸数が前年同期比▲4.7%、首都圏のマンション新規発売戸数が▲18.8%、首都圏の中古マンション成約件数が▲1.9%といずれも減少した。

 

また、5月の首都圏の中古マンション価格の過去1年間の上昇率は+4.6%となった[図表2]。

2―地価動向

地価は住宅地、商業地ともに上昇基調が継続している。国土交通省の「地価LOOKレポート(2023年第1四半期)」によると、全国80地区のうち上昇が「73」、横ばいが「7」、下落が「0」となった[図表3]。

 

同レポートでは、「住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められたことから上昇が継続。商業地では、人流の回復傾向を受け、店舗需要の回復が見られたことなどから上昇傾向が継続した」としている。

 

なお、野村不動産ソリューションズによると、首都圏の住宅地価格は12期四半期連続でプラスとなった。東京都心5区を中心に価格上昇が続いているが、周辺区では横ばい地点が増加しており、全般的に価格の上昇ペースは弱まりつつあるようだ。

次ページ3―不動産サブセクターの動向

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月7日に公開したレポートを転載したものです。

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