(写真はイメージです/PIXTA)

8月31日、欧州委員会統計局が公表した速報値によると、8月の消費者物価指数は前年同月比5.3%上昇し、7月から横ばいとなりました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の高山武士氏が今回の速報値の詳細について概観します。

2.結果の詳細:物価減速ペースは依然として不確実性が高い

23年8月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で5.3%となり、7月の5.3%から横ばいで推移した。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.3%とやや低下した。
 

以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
 

まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月5.5%→7月5.0%→8月4.8%、「サービス」(エネルギーを除く)が6月5.4%→7月5.6%→8月5.5%となり、財インフレは22年7月以来となる4%台まで低下した。

 

サービスインフレも前月よりは低下したが、5%台半ばで依然として高い。前年同月比寄与度は、「財」が1.14%ポイント程度、「サービス」が2.20%ポイント程度と見られる。
 

コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月▲5.6%→7月▲6.1%→8月▲3.3%とマイナス幅が縮小した。前月比では3.2%と23年1月以来となる前月比プラスとなり、23年4月時点の水準程度まで戻した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.48%ポイント程度(7月は▲0.62%ポイント)と見られる(前掲図表1)。

 

「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で9.8%(7月10.8%)と5か月連続で大幅に低下した(図表3)。

 

飲食料のうち加工食品の伸び率は10.4%(7月11.3%)、未加工食品は7.8%(7月9.2%)となり、未加工食品は再び大幅に下落した。飲食料の前年同月比寄与度は2.13%ポイント程度(7月は2.20%ポイント)と見られる。


物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が3.0%、コアが4.3%、エネルギーを除く財が3.2%、サービスが4.3%、飲食料が4.3%となった。

 

傾向としては減速しているが、今月は下げ渋っている印象がある。先行きの動向(インフレ減速ペース)については依然として不確実性が高い状況と言える。

 

国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは10か国で残りの10か国は低下した(図表5)。また、7月はベルギーでECBの物価目標である2%を下回ったが、8月はすべての国が2%を超えている。

 

前月比では16か国がプラスの伸び率で、4か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。 


3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月1日に公開したレポートを転載したものです。

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