2.結果の詳細:物価減速ペースは依然として不確実性が高い
23年8月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で5.3%となり、7月の5.3%から横ばいで推移した。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.3%とやや低下した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月5.5%→7月5.0%→8月4.8%、「サービス」(エネルギーを除く)が6月5.4%→7月5.6%→8月5.5%となり、財インフレは22年7月以来となる4%台まで低下した。
サービスインフレも前月よりは低下したが、5%台半ばで依然として高い。前年同月比寄与度は、「財」が1.14%ポイント程度、「サービス」が2.20%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月▲5.6%→7月▲6.1%→8月▲3.3%とマイナス幅が縮小した。前月比では3.2%と23年1月以来となる前月比プラスとなり、23年4月時点の水準程度まで戻した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.48%ポイント程度(7月は▲0.62%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で9.8%(7月10.8%)と5か月連続で大幅に低下した(図表3)。
飲食料のうち加工食品の伸び率は10.4%(7月11.3%)、未加工食品は7.8%(7月9.2%)となり、未加工食品は再び大幅に下落した。飲食料の前年同月比寄与度は2.13%ポイント程度(7月は2.20%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が3.0%、コアが4.3%、エネルギーを除く財が3.2%、サービスが4.3%、飲食料が4.3%となった。
傾向としては減速しているが、今月は下げ渋っている印象がある。先行きの動向(インフレ減速ペース)については依然として不確実性が高い状況と言える。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは10か国で残りの10か国は低下した(図表5)。また、7月はベルギーでECBの物価目標である2%を下回ったが、8月はすべての国が2%を超えている。
前月比では16か国がプラスの伸び率で、4か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
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