(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の成長に必要不可欠な「人材採用」について、多くの企業がより公正で適切な採用プロセスを模索しているものの、実践できているケースは少ないと、アライアンス・バーンスタイン株式会社の責任投資ヘッド、臼井はるな氏はいいます。そこで今回、「決まり切った採用プロセスから脱却できた」類まれな企業の例をいくつかみていきましょう。

「創造的な採用手法」を編み出したインドのIT企業

多様性の充実に向けて、従業員数に占める女性やマイノリティの雇用に一定の基準を設けて、その基準を満たそうとする企業が目立ちます。

 

ただし、それだけで適切な人材を確保できるとは限りません。むしろ、多様な人材の採用を妨げるバイアスを取り除き、創造的な採用の手法を編み出すことが大切だとアライアンス・バーンスタインでは考えています。

 

HRリサーチ・インスティチュートの調査によると、多くの企業が採用プロセスをより公正なものにしようと努めていると答えているにも関わらず、実際にはそれを体系的に実践しているケースは少ないのが現状です。

 

[図表]出所:EVERFI、グリーンハウス、HRリサーチ・インスティチュート
[図表]出所:EVERFI、グリーンハウス、HRリサーチ・インスティチュート

 

採用におけるバイアスの例として挙げられるのが、思い込みで判断を誤ってしまう認知バイアスです。

 

その典型が、採用候補者を履歴書の内容で判断してしまうこと。履歴書に一流大学卒の学歴や、有名企業での職務経歴の記載があるとその候補者は魅力的に見えます。しかし、本当に採用を成功させたいのであれば、履歴書にあらわれないスキルに注目することが大切です。

 

ここでいうスキルとは、実務経験というよりも問題解決能力や知的好奇心の有無、既成概念に疑問を持つことに抵抗がないかといった思考力です。

 

スキルに注目した採用の好事例がインドのITサービス企業、インフォシスです。

 

同社は、米国の拠点における顧客対応スタッフの採用にあたり、工学の学位ではなくクリティカル・シンキング(批判的思考)の有無を重要視しました。米国のコミュニティ・カレッジやリベラル・アーツ・カレッジと提携し、クリティカル・シンキングができる学生を探し出しました。カレッジには、相対的に女性やマイノリティが多い傾向があります。

 

スキルを持ち、多様化に繋がる人材を採用できたことで、インフォシスは米国における従業員基盤の拡大やダイバーシティの推進を実現し、多様な顧客に対応できる体制を整えることができました。

 

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