(※写真はイメージです/PIXTA)

ESG(環境・社会・ガバナンス)のなかで「S(社会)」の重要性は、企業経営でも認識が広がりつつある一方、その評価軸は試行錯誤が続いています。そのようななか、「S」が「進展している企業」と「そうでない企業」について、いま現在の金融市場はどのような評価を下しているのでしょうか。アライアンス・バーンスタイン株式会社の責任投資ヘッド、臼井はるな氏が解説します。

問題視される”現代奴隷”の存在

“奴隷”というとショッキングで時代錯誤な印象ですが、いまもまだ世界では、奴隷のように強制的な労働を強いられている人たちがたくさんいます。

 

たとえば、つい最近もアパレル業界では中国・新疆ウイグル自治区の強制労働が問題視されました。消費者の意識に敏感な業界では、“現代奴隷”への危機意識が急速に高まっています。ただ、一般の消費者から隔絶された業界では、まだまだ人権への配慮が不透明といえます。その典型が鉱山業界です。

鉱山での採掘で生計を立てる1億人の人々

ESG(環境・社会・ガバナンス)のなかでもとりわけS(社会)に関連して、企業の人権に対する取り組みに、投資家から高い関心が寄せられています。なかでも消費者から実態が見えない“奴隷”は深刻な問題です。

 

現代の奴隷労働は、企業の事業やサプライチェーン上において強制労働や他の人権侵害が行われていることを指し、公式には違法とされています。ただ、先進国を含む多くの国ではいまだにそれがまん延しています[図表1]。

 

[図表1]現代奴隷の深刻度
2020年3月31日現在
出所:グローバル奴隷指数、AB

 

アライアンス・バーンスタインでは、事業運営とサプライチェーン全体を軸に“現代奴隷”への関連度合いを業界横断で評価しました[図表2]。

 

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[図表2]“現代奴隷”と関連度が高い業界 2021年12月31日現在
出所:ACSI、企業インタビュー、企業報告書、業界リサーチ、AB

 

黒色が特に懸念される業界ですが、なかでも鉱山会社はリスクが高まっていると位置付けています。 鉱山会社のリスクはなぜそれほど深刻なのか。いくつかの理由や背景があります。

 

1つは鉱業が経済に欠かせない産業で、新興国ではとりわけ重要性が高いこと。輸出の25%以上を燃料以外の鉱物が占めている40ヵ国のうち、75%は低・中所得国です。

 

安全対策が不十分で、危険性の高い小規模な採掘(ASM)は、こうした国々で行われています。国際労働機関によると、世界で約1,300万人がASMに従事していて、そこで生計を立てている人は1億人に上ると推定されています。

 

もう1つが、移民や少数民族など、特に立場の弱い人々を多く雇用していること。これは紛争が広がる地域や、汚職がまん延し、司法制度が十分には整っていない地域で事業を展開している企業が多いことに起因します。

 

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【ご注意】
※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「ダイバーシティは企業のみならず、投資家にも恩恵をもたらす」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
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当資料は、2022年8月10日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

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