(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の成長に必要不可欠な「人材採用」について、多くの企業がより公正で適切な採用プロセスを模索しているものの、実践できているケースは少ないと、アライアンス・バーンスタイン株式会社の責任投資ヘッド、臼井はるな氏はいいます。そこで今回、「決まり切った採用プロセスから脱却できた」類まれな企業の例をいくつかみていきましょう。

“トラックドライバー=男”は古い!“常識ぶち破った”日本企業

日本においても、思い込みを排除したことで人手不足を解消した事例があります。トラック運送・物流会社である佐川急便を中核としたSGホールディングスです。

 

従来、トラックドライバーは男性の仕事と考えられていました。しかし、少子高齢化が進む日本では男性にこだわったドライバーの確保は年々難しくなっていて、女性や高齢者の活躍が求められています。

 

同社は、テクノロジーや設備に投資し、積み込み作業と運送作業の分離に成功。現在、多くの女性や高齢者、さらには身体障害者がドライバーとして活躍しています。

 

「決まり切った採用プロセス」からの脱却

同じような採用プロセスを踏んでいる企業は数多く存在します。同じ大学や企業の出身者を採用していてばかりでは、多様性は乏しくなってしまいます。採用の対象を従来とは違う属性の集団から選ぶことで打開を図る事例も生まれています。

 

米国の建設用重機レンタル会社であるハーク・ホールディングスは、自社に求められる特性を持つ集団に着目しました。同社が取り扱う重機は、安全や手順の遵守が求められます。そこで同じく規律の遵守が求められる軍隊に注目し、退役軍人を中心に求める人材の確保に成功しました。

 

紛争によって母国から避難を図った難民は、生活を立て直すために労働意欲が高い人々だと捉える企業もあります。フランスに拠点を置くIT企業のキャップジェミニは、難民を訓練してデジタル関連の仕事に就かせるプログラムを英国で立ち上げ、人材不足の問題を解消しようとしています。

 

採用プロセスからバイアスを減らし、インクルージョンを推進させるツールが開発されています。たとえば、米国の科学機器サプライヤーであるサーモ・フィッシャー・サイエンティフィックは、すべての求人広告について、候補者の応募を阻止するような言葉づかいを減らすのに役立つツールを用いています。

 

適切な人材を採用することは、事業の健全性を構成する要素でも過小に評価されているものの1つです。企業は定型的な採用方法を打ち破ることで将来の収益性を一段と高めていく志向が大切で、投資家も投資先企業の人材採用のあり方にもっと注意を払うべきでしょう。

 

 

臼井 はるな

アライアンス・バーンスタイン株式会社

責任投資ヘッド

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください。

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】※本稿は、ABのリサーチブログ「知の広場」の「ダイバーシティは入り口が肝心」を参考に、再編集したものです。詳細については当該ブログをご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン・ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2023年7月21日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が再編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録