コーポレート・ガバナンスと株式リターンの相関関係
企業のガバナンスと株式リターンに相関関係があることが明らかになってきました。
たとえば、ハーバード・ロー・スクールの教授らが6つの主要なガバナンス規定で策定した指数からは、1990年から2003年までの米国株式において指数上の評価が低いほど企業価値が低下し、リターンも低下することが分かっています。
最近のS&Pグローバルの調査でも、ダウ・ジョーンズ指数のガバナンス・スコアが下位4分の1にある企業は、上位5分の1の企業に比べ、年率換算で約2%パフォーマンスが下回っているという結果が生じています。
コーポレート・ガバナンスが不十分な企業は経営不振に陥りやすく、収益も低迷しやすいというイメージは、投資家にとっても、想像にたやすいものです。
では、現実はどうなのか。私たちは、株主総会における「議決権の行使」に着目して、詳細な調査を進めました。議決権の行使は、株主が企業の経営、特にガバナンスの良し悪しに関する意見を伝える有効な手段の一つです。
ガバナンスの評価は各社一律にできるものではありません。私たちは、独自の議決権行使方針の活用に加え、アナリストの専門知識やエンゲージメントを活用した共同レビューを行っています。こうしたアプローチを取ることで、その企業ならではのファンダメンタルズに関する知見を取り入れつつ、長期的な改善を後押しするための建設的な議決権行使を実施できると考えています。
私たちの議決権行使の実績と企業収益の間に同じような関係性があるかどうかを調査した結果、株主総会のさまざまな議案で経営陣に反対票を投じた企業の平均的な業績は、私たちが強力に賛同した企業の業績に比べ、下回っていたことが判明しました。具体的なアプローチについて紹介します。