元国税調査官で税理士のじてこ先生SASAこと笹圭吾氏のSNSには、お金や税金についての質問や相談が多数寄せられるそうです。その回答を、じてこ先生は著書『あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?』(すばる舎)でまとめられています。本連載では、じてこ先生のSNSに届いた質問や相談の中から誰もが気になりそうなものを抜粋して、会話形式で紹介。今回は、高橋さち子さんの質問「消費税は廃止しても大丈夫だという意見は本当なのか?」を取り上げます。質問者の高橋さんは主婦(50歳)。夫の年収650万円で、130万円の壁を意識しつつパート勤務。息子は20歳の大学生で、娘は16歳です。

公共サービスもタダじゃない!

質問者「じてこ先生、そもそもの話なんですけど、なぜ私たちは税金を払わないとダメなんでしょうか?」

 

じてこ先生SASA「(いきなり、ざっくりした質問がきたなぁ……)うわぁ、めちゃくちゃむずかしい質問ですね〜。

 

まずは型通りにお答えすると、『生活インフラの整備や、教育・警察・消防・防衛といった各種の公共サービスを実施するにはお金が必要だから』というのが模範解答になります。どうですか? この答えで、さち子さんの疑問は解消できますか?

 

……そういえば、僕が国税局に務めていたときにも、国民の納税意識を高めるための『租税教室』というイベントで、子供たちにはそのように教えていましたねぇ。」

 

質問者「なるほど。まぁ、中学校の社会科の授業なんかでも、その辺りは習った気がします。それはそれとして、実は私、最近TikTokで経済系のインフルエンサーが話している動画をよく見ているんですけど、政府や中央銀行がお金を発行できるんだから、消費税なんて廃止しても問題ない、というようなことを言う方が結構いるんですよ。これは本当の話なのかな〜と思いまして、せっかくなのでお聞きしたんです。」

各種メディアで触れる「大きな話」とどう付き合う?

じてこ先生SASA「なるほどなるほど。そのテイストのお話ですね。う〜ん、僕は税理士で経済学の専門家ではないので、あくまで話半分に聞いてくださいね。

 

その上で僕の考えを言うと、政府やその傘下の中央銀行がお金をいくらでも発行できるから、消費税を廃止したとしても財政的には問題が生じないよ、という理論・理屈は、1つの可能性としては実際にあるのかもしれません。

 

ただ、本当に問題ないかどうかは、試してみないことにはわからないんだろうなと。そして、仮に実際に試してみたところで、やっぱり消費税が一番の悪者で財政が健全になりましたとか、逆にいきなり財政破綻してハイパーインフレになりました、といったようなハッキリした答えは出てこないんじゃないかなぁ、と考えています。」

 

質問者「……どういうこと?」

 

じてこ先生SASA「たとえば、アベノミクスのとき、異次元の金融緩和で当時の日銀総裁の黒田さんがバズーカを打ちましたよね。これは、中央銀行が市場に出回るお金の供給量を増やすことで、経済を活性化させる政策だったわけです。

 

でも、その結果、日経平均株価が上がったり、失業率が下がったりと一定の効果はありましたけど、実体経済が成長して国民生活が豊かになったか? デフレが終わったか? と言われたら、そこまで成功したとは言い切れないでしょう。

 

いや、効果的だった、長期的に見ればデフレ脱却の環境をつくった、消費増税さえなければ……とか、逆にいやいやそんなことはなくて大失敗だったとか、いろいろと議論はあるんですが、最終的な結論は出ていません。

 

本当に結論が出るのはおそらく何十年も先で、もしかしたらずっと結論は出ないかもしれません。」

 

質問者「経済には答えがないってことですか?」

次ページ絶対に正しい経済の専門家の意見は存在しない!?

※本連載は、じてこ先生SASA(笹圭吾)氏による著書『あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?

あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?

じてこ先生SASA(笹圭吾)

すばる舎

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