相続税は資産3,600万円から
質問者「先生、なんで、あんなにタワマンばかりいっぱい建つんですか?人口は減っているのに、家ばっかり建てて何か意味があるんですか?」
じてこ先生SASA「(なんや、ませた子やな〜)タワマンがたくさん建つ理由は1つではないだろうけど、税金の観点だったら、相続税対策で使われているケースがあるかな。」
質問者「『相続税』って何ですか?」
じてこ先生SASA「誰かが亡くなったら、その人が持っていたお金や不動産などを奥さんとか子供に引き継ぐでしょ。そのときにかけられる税金が相続税です。」
質問者「えぇー、そうなんですか?そのお金を稼ぐときにも税金を払っているはずなのに、残しておいたら、死んだあとにまた税金を取られるんですか?」
じてこ先生SASA「そう。とはいえ、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)が最低でも3,600万円はあるから、それ以上の財産を持っていたときにだけ税金かかるイメージです。」
質問者「ふーん。じゃ、ウチは余裕で相続税かかりますね。」
じてこ先生SASA「(この子、めちゃくちゃイヤな育ち方してるやん……)まぁ相続税には、お金持ちの子供がお金持ちで居続けるのを防いで、富が特定の家系に集中するのを防ぐ狙いもあるからね。」
質問者「そんなこと言ったら、世襲の政治家なんかのほうが、富と権力が集中しているじゃないですか。」
じてこ先生SASA「確かに。君は賢い。でも、それはまた別の機会に語り合おう。今回はいったん税金の話に戻すと、マンションがたくさん建つ理由の1つに、相続税の節税対策がある、とさっき言ったんだけど、何がどう関わっているか想像できる?」
不動産は課税評価額が低くなりやすいところに着目している
質問者「相続税は家族に残す財産がいくらなのかによって、税金がかかるかどうかが決まるんですよね。……う〜ん……残念ですがちょっとわかりません。でも、現金で残したら税金がかかるけど、タワマンで残したら税金がかからないとか?」
じてこ先生SASA「おしいっ! ほぼ正解と言ってもいいレベルだね。答えは、現金や預金で残すより、タワマンで残すほうが相続税の計算のときに有利になるから。
たとえば、現金や預金で1億円を持っていたら、その1億円に対してそのまま課税されるけど、その1億円でタワマンを買ったら、実質的な価値は1億円なのに、相続税の計算上の価値(不動産評価額)はその3割くらいになる。ここでは、仮に3,000万円としておくね。
この実質価値1億円と、評価額の3,000万円との差額7,000万円は、相続税の計算上は圧縮できたことになるので、たとえば税率20%であれば7,000万円×20%=1,400万円で、1,400万円も節税できて死ぬほどオトクになる、というわけ。」
質問者「ちょっとオトクとか、そういうレベルではないですね!でも、タワマンじゃないとダメなんですか?」
じてこ先生SASA「タワマンじゃなくても、その他の不動産でも節税効果はあるよ。
ただ、タワマンの特に高層階の物件ほど、節税効果が高くなる傾向があるんです。建物について、同じ専有面積であれば低層階でも高層階でも税金の計算時の評価額は同じルールなんだけど、市場での取引価格は高層階ほど高額になるよね?
だから評価額との差額が大きくなって、より大きな節税効果が見込めるわけ。ふつうのマンションよりも、タワマンのほうが相続税対策として好まれるのは、そういう理由です。」
質問者「そうなんですね。納得です。でも、住むためでなく節税のためだけに無意味なものを建設し続けるのって、やっぱり大人って汚いですね。」
じてこ先生SASA「(ビミョーなお年頃・笑)ただ、今説明したような節税対策での購入はあくまで限定的で、ここ数年はインフレ対策や、あるいは単純な資産価値の向上を狙った投資目的で購入している人のほうが多いみたいだね。」
質問者「節税ができて、相続税を払ったあとに物件が値上がりすれば、さらにオトクということですか?」
じてこ先生SASA「そうそう。節税も大事だけど、運用の観点も大事だよね。それはそれで、住むために購入しているというわけではないけど……。」
質問者「そうですよ! 動機が不純です。相続税を計算する際の建物価値の評価方法も、意味不明じゃないですか!? 市場価値が高いなら、評価額も高くすればいいのに!」