(※写真はイメージです/PIXTA)

老後生活を考えるうえで欠かせないのが“終の棲家”です。多くの人は「住み慣れた自宅」を思い浮かべるでしょうが、身体的な衰えやケガに病気、そのほかさまざまな理由から終の棲家として「老人ホーム」を選ぶ人も少なくありません。しかし、周りに相談せず自分たちだけで決めてしまうと、後々大変なことになるリスクも……牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例を交えて解説します。

快適なセカンドライフのはずが…Aさんが気づいた妻の「異変」

現在70歳のAさんは、1歳年上の妻と2人暮らしです。2人の子どもはすでに独立し、それぞれ家庭を築いています。

 

42歳の長女には娘が2人おり、実家から車で20分くらいのところに住んでいます。一方、現在39歳の長男は息子が1人おり、地方の大学に進学後そのまま就職し住み続けているため、A夫婦の住む家からはだいぶ距離があります。

 

現役時代は上場企業の部長を務めていたAさん。60歳で定年退職し、退職金は約2,500万円支給されました。しかし、しっかり老後資金を貯めておきたいという思いから65歳まで同じ会社で再雇用として勤務。その後は、蓄えた十分な貯蓄と年金で、夫婦仲よく“悠々自適なセカンドライフ”を満喫していました。

 

A夫婦の主な家計収支は下記のとおりです。

 

出所:筆者が作成
[図表1]A夫婦の主な家計収支 出所:筆者が作成

※1 夫婦で老後生活を送る最低日常生活費は月額で平均23.2万円。ゆとりある老後生活費は平均37.9万円(生命保険文化センター「生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度」より)。

※2  70歳以上の消費支出額は、23万7,203円(世帯主の年齢階級別消費支出額(二人以上の世帯)。(厚生労働省「家計調査報告(家計収支編)2022年)平均結果の概要」より)

 

“最近妻の挙動がおかしい…きっと認知症だ!”老人ホームへの入所を決意

しかしあるとき、Aさんは「このごろ妻の様子がおかしい」と思い始めました。どうも元気がなく目がうつろで、考え込んでばかりいるのです。

 

「きっと軽い認知症だ」そう思い込んだAさんは、「妻と最後まで一緒に居たい。けれど、自分も年だし老々介護はきつい……。そうだ。お金もあるし、老人ホームに入ろう!」と、独断で良質な老人ホームを探し始めました。

 

もともと行動力のあるAさんですから、妻のために施設を探すのは苦ではありません。数件目星をつけた施設のなかから、特にAさんは「2人あわせて初期費用3,000万円」という高級老人ホームが気になりました。

 

そこで、妻に「2人で老人ホームに入ろう」と話し、さっそく妻を連れて施設見学へ行くことにしました。

 

その施設は、入口やお風呂、ダイニングといった共有スペースが充実していて、スタッフの応対も丁寧。まるでリゾートホテルのようです。夫婦はすっかり気に入ってしまいました。

 

また、担当者から「2人部屋の空室が少なく、もうすぐ埋まってしまう」と聞いたA夫婦は、子どもたちに相談することなくその場で契約。すぐに入所を決めたのでした。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
<参照>
1.日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html)
2.厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038005_1.pdf)

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