(※写真はイメージです/PIXTA)

老後生活を考えるうえで欠かせないのが“終の棲家”です。多くの人は「住み慣れた自宅」を思い浮かべるでしょうが、身体的な衰えやケガに病気、そのほかさまざまな理由から終の棲家として「老人ホーム」を選ぶ人も少なくありません。しかし、周りに相談せず自分たちだけで決めてしまうと、後々大変なことになるリスクも……牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例を交えて解説します。

無事施設に入所も、“娘、焦りの大激怒”のワケ

Aさんは入所後、初めて娘に「老人ホームに引っ越したよ」と連絡。寝耳に水の長女は、すぐさま施設を訪ねてきました。そして、その豪華さに目を丸くした娘は険しい表情で、「お父さん、これ……いったいいくらしたの?」と尋ねます。

 

Aさんは娘に、老人ホームにかかる費用と入所後の収支見込みについて、下記のように伝えました。

 

・入所の初期費用(入居一時金):3,000万円(初期償却20%、償還期間5年)

・毎月の費用:2人あわせて40万円
(内訳……家賃、管理費、食費、水道光熱費、施設利用料、イベント・サークル活動費など)

 

出所:筆者が作成。 ※ 国民健康保険料は「介護保険」を含む。
[図表2]Aさんが考えた、老人ホーム入所後の収支見込み 出所:筆者が作成。
※ 国民健康保険料は「介護保険」を含む。

 

そのうえで、「自宅は売りに出しているから、無理なく費用は払っていけると思う。ここで90歳くらいまでは暮らせるんじゃないかな」と伝えると、娘は激怒。

 

「ちょっと! ばかじゃないの! なんで相談してくれなかったの!?」

 

声を荒げると、そのまま施設を出ていってしまいました。Aさんは「申し訳ない。冷静に話そう」と連絡を送りましたが、返事は返ってきません。

 

たしかに相談なしで自宅を売却し施設に住んだことはまずかったと思いましたが、Aさんはなぜそんなに娘が激怒しているのかわかりませんでした。

 

長女の頭の中にあった「遺産相続計画」

実は長女はかねてから上場企業に勤める父に誇りを持っており、「いずれは多額の遺産が手に入るのだわ……」と妄想を膨らませていました。夫は収入が低く、子どもたちの教育費にもお金がかかり頭を抱えていた娘は、親の遺産をひそかに当てにしていたのです。

 

そんな父が、よりによってお金のかかる高級老人ホームへの入所を決めてしまったのですから、「もう! 勝手に決めて、私の遺産相続計画が台無しよ!」と怒っていたのでした。

 

娘は帰宅後、「今後両親は父の見込みどおりに生活ができるのか」「万が一親が破産したら、親の遺産を当てにするどころか自分たちの家計にも負担がかかるかもしれない」などと、不安で頭がいっぱいに。知り合いの伝手を頼って、筆者のFP事務所に相談に訪れました。

 

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次ページ長女が用意してきた「3つの質問」

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
<参照>
1.日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html)
2.厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038005_1.pdf)

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