「結果にこだわらない」ことの重要性
営業は常に「結果」を求められる仕事です。もちろん、他の仕事も結果が求められるのは同じです。ただ、営業の特徴は、結果が数字としてわかりやすく出てしまうところです。
「売れたかどうか」が、個数や金額という明快な数字で表されます。営業同士でも誰が売れていて誰が売れていないのかは一目瞭然です。
これは大変なことではありますが、筆者のような「静かな人」「控えめな人」にとっては、結果さえ出せば認めてもらえるというメリットもあります。どんなに上司のご機嫌を取ったところで、評価は出た数字がすべてです。
一方で、マイナス面もあります。それは、結果のみにフォーカスしがちなところです。
「とにかく売れ!」「月末までに売ってこい!」「売れるまで帰ってくるな!」
上司の指示は「売る」ことだけ。それを毎日聞かされている営業も、とにかく売ることだけを意識して営業するようになります。
そんな人に、筆者が定番で聞く質問があります。
「売れた理由を説明してください」
この質問をすると、たいていの人は頭に「?」が浮かびます。あなたも、直近で売れたときのことを思い出してください。その売れた理由を説明できますか?
多くの営業は、「売れた」という結果だけに満足してしまい、「なぜ売れたのか」を振り返ることをしていません。それよりも、次に「売る」ことに意識が向いてしまいます。あるいは、売れなかった反省をすることはあります。それも大事ではありますが、本当にすべきなのはむしろ「売れた理由を振り返ること」なのです。
理由を言えるようになるとどうなるかというと、売れるパターンや流れを再現しやすくなるのです。
たとえば、売れた理由を考えていない人の答えは、
「会社をまわっていたら、たまたま社長がいたので話ができて売れました」
こんな感じです。
一方、売れた理由をいつも振り返っている人の答えはこうです。
「受付の人にチラシを見せながら少し雑談をしていたんです。そうしたら、いまなら社長は暇そうにしているよと教えてくれました。そこで会わせてもらえて、お話をしたところ契約をもらいました」
前者も後者も「たまたま社長に会えた」ことが成功の理由です。しかし、後者の場合は「受付の人と雑談をすると社長と会わせてもらえやすい」という情報が盛り込まれています。これが再現性です。
どうやって売れたのかをプロセスで振り返ることによって、その成功パターンが再現しやすくなるのです。
日頃から、売れた理由を振り返るクセをつけておいてください。また、あなたが上司なら、部下にプロセスを聞くようにしてください。安定して売れる状態が作れるはずです。
■POINT
「売れたら次」ではなく、「売れた理由」を考えてみよう。
渡瀬 謙
有限会社ピクトワークス
代表取締役
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