お客様をむやみに「ほめない」ことの効果
◆営業とお客様は対等の関係
筆者は、手放しでほめられるのは好きではありません。滅多にないことですが、いかにもおだてる感じでほめてもらってもうれしくありませんよね。
同様に、むやみに人をほめるのも苦手です。漫画などで描かれている象徴的な営業のシーンで、お客様にゴマをすっているのを見かけますが、見るたびに心がザワザワします。
ドラマでも、お偉いさんを料亭で接待してお酌して帰りに手土産を持たせてタクシーに乗せて最後まで頭を下げて見送る…なんて場面はあまり見たくありません。
営業は「売りたい」という下心があると、どうしても相手に対して良い印象を与えたくなります。それが「ほめる」とか「ヨイショする」とかの行動につながっています。
自分を下げてでも売れればいいと割り切っている人もいるでしょうが、筆者は抵抗を感じます。どんな分野でもそうですが、商売や取引というのは対等の関係です。営業とお客様の関係も商品やサービスとお金を物々交換しているだけです。
ところが、どうしてもお金のほうが価値が高いと思われがちで、お金を払う側のほうが偉くてサービスを提供する側がへりくだる場面がよくあります。人をほめるのが苦手というのも、そうした下心的な心理が働いているからだと思います。つまり、ほめることに抵抗感があるというのは、正しいことなのです。
◆「口先だけ」の営業は見透かされている
これは営業への抵抗感とも共通しているので、この際どちらも消してしまいましょう。
たとえば、あなたの部下が作った資料がイマイチだったとき、もし気をつかって「よくできているね」とほめたとしたら、部下はそのレベルの資料でいいのだと思い込んでしまうでしょう。それは、あなたにとっても、その部下にとってもいいことではありません。
さらに、いつも適当にほめてばかりいると、部下のほうも「この人は誰に対してもいい顔をしようとしているな」と感じるようになるでしょう。
そうではなく、本当にいい資料ができたときだけ「よくできているね」と評価の言葉を口に出すと、それが単なる口先だけでほめたのではなく、本心で言っていると感じてくれるはずです。実際に本心なのでこちらも抵抗感なく言えます。
営業も同じことです。お客様がつまらないダジャレを言ったとき、本当につまらなかったら、「いまのはちょっとイマイチでしたね」と本当の感想を言ってあげればいいのです。もちろん、やんわりと。
変に気をつかってウケたフリをしてしまうと、その後もつまらないダジャレに付き合わされることになります。たまに本当に面白いことを言ったら心から笑ってあげればいい。それだけで、この営業はちゃんと本音で話してくれる人だと思ってもらえます。
営業とお客様との関係は、別に特別なものではありません。単なる人と人との関係です。ご機嫌を取るようなことばかり言ってくる人とは、信頼して付き合いたいとは思いませんよね。
苦手だなと思ったらやめておきましょう。抵抗感があるのならその気持ちに素直に従いましょう。
心の内と言動がちぐはぐな人とは、心を開いて付き合おうとは思いません。口先だけでほめたりしても、お客様は見抜いています。良いことも悪いことも、本音で話せる人になってください。
■POINT
本音の営業にはお客様も本音で返してくれる。
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