「あがり症」とうまく付き合えれば営業力が「上がる」
◆「あがり症」の天敵は急なアクシデント
筆者は自他ともに認める「あがり症」です。子供のときからすぐに顔が真っ赤になるタイプで、営業の仕事を始めてからもあがり症に苦しめられました。
なるべく堂々と振る舞おうとするのですが、体質は変えられません。あがり症の人ならわかると思いますが、自分の意思に反して身体が勝手に変化(赤面、発汗)してしまうことへの恐怖。そして実際にあがってしまったときの逃げ場のない絶望感。自分で自分をコントロールできなくなることがつらいのです。
セミナー講師という仕事をしているいまでさえ、あがり症は完全には克服できていません。ただ、いまではたまにじわっと背中に汗が出る程度で、赤面することも顔中が滝のような汗になることもなくなりました。あがり症とうまく付き合えるようになったからです。
かつての筆者があがってしまったのは、「予想外のことが起きたとき」でした。たとえば、
・名刺を忘れてしまったとき
・電車が遅れて遅刻してしまったとき
・急に役員に対してプレゼンすることになったとき
など。突発的トラブルにめっぽう弱い性格なのです。たとえば取引先への到着が約束の時間ギリギリになってしまうと緊張であがってしまい、商談にも集中できなくなってしまいました。
そこで、考え方を変えました。「突発的なトラブルでもあがらないようにする」のではなく、「そもそも、突発的なトラブルが起きないようにする」ことに注力するようにしたのです。
◆あがらないための行動が営業力を高めてくれる
まず、絶対に遅刻しないために、約束の時刻の30分前には到着するペースで行動するようになりました。それなら事故で電車が遅れたり、道に迷ったりしてもたいていは間に合います。時間通りに到着できれば、心に余裕ができて緊張することもなくなりますし、おかげで遅刻とも無縁になりました。
また、名刺が足りないとか、パンフレットを忘れるなどの凡ミスも絶対に避けたいので、いつも多めにカバンに入れて持ち歩くようにしました。重くはなりますが、それでも忘れたときのパニック状態が解消されればそれでよしとします。
さらに、初対面の人と会ったときに、何も話すことがないとこれまたあがってしまうので、事前に話題を準備する習慣もつきました(このアイスブレイクの方法は、後に一冊の本になっています)。
このような準備はあがらないためのものでしたが、こうした慎重な行動が、トラブルの火種を事前に消すことにもなり、お客さまからの信頼にもつながっていきました。まさに、あがり症がプラスになったのです。
あがり症に悩む人は多いと思いますが、それがプラスになると考えれば、気の持ちようも変わってくるのではないでしょうか。
それでも、突発的なトラブルが起こったら、やはりあがってしまうかもしれません。そのときは素直に自分を受け止めればいいのです。
■POINT
「なぜ、あがってしまうのか」の「原因」を突き止め、その原因をなくしていこう。