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「笑顔」を封印したら売れるようになる
◆営業マンに「笑うな」と指導する理由
筆者は笑うことが苦手です。Zoomで面談しているときの自分の顔を見ると、笑顔が残念な感じで引きつっていることがよくあります。とくに、写真を撮られるときにうまく笑顔を作れないのが悩みです。
一般的に営業というと、いつもにこやかにしているイメージがあります。
ただ、「営業スマイル」という言葉があまり良い意味で使われていないことからもわかるように、自分の本音を隠して表面だけ取り繕った笑顔は相手に見抜かれますし、評価されません。これもまた「残念な笑顔」です。
たまに用事があってカーディーラーに行くと、接客してくれる人がずっと笑顔で話しかけてきたりします。おそらく「笑顔で」ということがマニュアル化されているのでしょう。店内で行うことが多い営業活動の場合、常に他の誰かから見られているので、こうしたマニュアル通りの接客をする人が多いです。
ただ、彼の話を聞きながら、「いつまで笑顔でいるのだろう」とそっちにばかり気が取られて、話が頭に入ってこないこともありました。
笑顔で優しさや親しみやすさを表現しようとしているのでしょうが、とくにおかしくもないのに笑うのはやはり変です。つまり、ずっと笑顔というのは、むしろ不自然なのです。
そもそも、営業側が思っているほど、お客様は営業と親しくなろうとは思っていません。むしろいまの時代、不自然さはかえって警戒されてしまいます。なので筆者は「笑うな」と言っています。
◆「ムリな笑顔」を封印したら売れるようになったカーディーラーの営業マン
実際にカーディーラーの営業を教えたことがありました。おとなしい男性です。
聞けば、店長をはじめまわりの社員たちはみんな体育会系で、明るく元気に大きな声で接客することが半ば義務づけられていたそうです。静かなタイプの彼も最初のうちは頑張って明るく振る舞おうとしていましたが、やはり不自然な笑顔になってしまい、売上にもつながりませんでした。
そこで筆者は、「笑顔を封印しなさい」と指示しました。
彼は最初は抵抗しましたが、ムリして笑顔を作ってもどうせ売れないのなら、一度試してみてもいいんじゃないかと言って、やってもらいました。すると、徐々に効果が表れ始めました。お客様の信頼度が目に見えて上がっていった、というのです。
ムリして笑顔を作って優しい営業を演じていたときは、何を言ってもまともに聞いてもらえなかったそうです。おそらく、下心が見え隠れしていたからでしょう。
笑顔をやめたことで、彼の本来の顔で接客できるようになりました。すると、言葉と表情が一致します。それが、彼の言葉の信頼度を格段に高めたのです。
「この人は本音でアドバイスしてくれている」「自分の要望をきちんと理解したうえで提案してくれた」「真面目で信用できそうだ」そんな印象になったのだと思います。
もちろん、自然と笑顔が出てくるのならいいのですが、ムリして愛想笑いをするくらいだったら、笑顔など封印したほうがいいのです。筆者のように、作り笑顔に拒否反応を示す人もいます。そして、営業として本来やるべきことだけに意識を向ける。つまり、お客様の話に耳を傾け、そのニーズを的確に汲み取り、解決策を本気で考え、提案する。それが一番いいのです。
実際に売れたあと、「いい車が手に入って良かったよ」と喜んでいるお客様に対して、彼は少しはにかみながら自然の笑顔を向けていました。
売るための笑顔ではなく、お客様に喜んでもらえた笑顔です。営業が笑う場面はこれだけでいいのです。
■POINT
ムリに笑うより真顔のほうが、信頼感を与えられることもある。
無理にほめることも、笑うこともやめて、お客様に本音で接すること。これが、お客様の信頼を得ることにつながるということです。
渡瀬 謙
有限会社ピクトワークス
代表取締役
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