いくらお金があっても安心できない…「お金を使うと罪悪感を覚えるんです」日本人の〈拭えない欠乏感〉の正体【金融教育家が解説】

いくらお金があっても安心できない…「お金を使うと罪悪感を覚えるんです」日本人の〈拭えない欠乏感〉の正体【金融教育家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「お金と感情」は良くも悪くも互いに影響を与え合っています。お金の不安をどうにかしたいと思っている人は、まずはこの「お金と感情の関係」に気づきましょう。その上で具体的な対策を立てて実行すると、根本的な解決につながります。金融教育家・上原千華子氏の著書『ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、お金との付き合い方に影響する「マネー障害」について紹介します。

(2)拝金主義(Money Worshipping Disorders)

2つ目にマネー障害として紹介されているのは、「拝金主義」です。たとえばあなたは「お金がたくさんあれば、幸せなはず!」と思ったことはありませんか?

 

私自身、2018年に独立するまではそう思っていました。「お金さえあれば幸せ」とは限らないけど、世の中の問題は、お金で解決できることが多いと信じていたのです。しかし、脳科学コーチングを学んでから、「お金と幸福感」について深く考えるようになりました。

 

また世の中を見渡すと、コロナ前後で「豊かさ」の定義が大きく変わったように思えます。2020年のパンデミック以前は、年収や財産、社会的ステータスなどが「豊かさの象徴」といった風潮がありました。一方コロナ禍では、自分と家族が心身ともに健康で、必要なお金が手元にある状態が「真の豊かさ」と考える人が増えたのではないでしょうか。

 

豊かさの定義は人それぞれ。ただ「お金が全て」といった拝金主義は、精神衛生上よくありません。なぜなら、お金で一時的に気分を高揚させて、心を満たそうとしているからです。ドキッとしたあなた、大丈夫ですよ。同じように思っている人は、世界中にたくさんいます。

 

どのような事例があるのか、詳しく見ていきましょう。

 

【①浪費】

お金があるとパーッと使ってしまい、気がつくと手元にお金が残らない。こうした浪費の中には、ギャンブル障害やためこみ症、儲かった時の高揚感(こうようかん)が忘れられず、高リスク商品で投機的な短期取引を繰り返す人も、この部類に含まれます。

 

【②買い物依存】

憧れのブランド品を身につけて、セレブ感を味わいたい人は多いかもしれません。たしかに、人には誰しも人からよく見られたい願望はあるものです。持ち物のグレードで待遇が変わることは実際にあります。

 

普段はプチプラのリュックで出かけるCさんは、ある日珍しく高級ブランドのバッグで外出しました。すると、立ち寄ったお店では丁重に扱われ、道ゆく人々もCさんにぶつからないように、少し距離を置いてすれ違っていったといいます。いつもより周囲から大事にされている感じがして、気分がよかったそうです。

 

ただ、このような高揚感を求め過ぎると、買い物依存症に発展する可能性があります。買い物依存症とは、買い物を繰り返すうちに、買い物自体が目的となり、自分で衝動を抑えられなくなる状態です。その結果、借金をしてまで買い物を繰り返し、自己破産に至るケースも。ブランド物に執着し過ぎる人は、なぜ自分はこの商品を買いたいのか、買う前に自問してみてください。

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※本連載は、上原千華子氏の著書『ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー

「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー

上原 千華子

日本能率協会マネジメントセンター

コロナ禍や物価高騰といった経済不安が高まる今、資産形成をしたいと考える人が増えています。 しかし、その考えとは裏腹に、「資産運用をしたほうがいいとわかっているけれど、なんとなく不安で一歩を踏み出せない」「老後…

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