いくらお金があっても安心できない…「お金を使うと罪悪感を覚えるんです」日本人の〈拭えない欠乏感〉の正体【金融教育家が解説】

いくらお金があっても安心できない…「お金を使うと罪悪感を覚えるんです」日本人の〈拭えない欠乏感〉の正体【金融教育家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「お金と感情」は良くも悪くも互いに影響を与え合っています。お金の不安をどうにかしたいと思っている人は、まずはこの「お金と感情の関係」に気づきましょう。その上で具体的な対策を立てて実行すると、根本的な解決につながります。金融教育家・上原千華子氏の著書『ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、お金との付き合い方に影響する「マネー障害」について紹介します。

(3)人間関係におけるマネー障害(Relational Money Disorders)

3つ目のマネー障害は、パッと見ただけではどのようなことかイメージがしにくいかもしれませんね。

 

まずは具体的に、どのようなケースがあるか見ていきましょう。

 

【①経済的依存(financial dependence)】

他人のお金を当てにして依存し続ける状態を指します。たとえば、経済的に自立したくない、お金に責任を持ちたくないから、大人になっても親から経済的に援助してもらうなどです。また、②のお金の権利付与とも密接に関係しています。

 

【②お金の権利付与(financial enabling)】

人にお金を無心されても「ノー」と言えないマネー障害です。たとえば、経済的に余裕がないのに、①の経済的依存を要求する人にお金を貢いでしまうなどです。

 

よくあるケースは、経済的に自立できるはずの子どもに、いつまでも仕送りを続ける親です。この場合、良好な親子関係を保ちたいために、不健全な経済的支援をしています。その裏には、お金をあげないと関係を維持できないという恐れが隠れています。こうした行動も、マネー障害の一種とされています。

 

【③お金の背信(financial infidelity)】

家族に黙ってローンを組んだり、高額商品の価格について嘘をついたりする状態です。黙って予算を超える買い物をしたり、密かにリスクの高い投資に手を出したりします。これは、すでに相手との信頼関係が崩れている時に起きやすいといわれています。

 

【④お金のもつれ(financial enmeshment)】

これは、親が自分のニーズを満たすために、お金を通して子どもをコントロールする状態です。お金を利用した心理的虐待とも言えます。この虐待を受けた子どもは、心にトラウマを負う可能性が高くなります。

 

たとえば、大人同士で解決すべき金銭問題に子どもを利用する、つまり借金の取り立てが来ると、「両親は今いません」と子どもに嘘をつかせるなどです。また、親が「私がお金を出して教育したおかげよ!」と言って、子どもが実力で得た功績やお金を搾取するのも、「お金のもつれ」に含まれます。

 

こうした人との関わりの中で起こる金銭トラブルは、とても複雑です。このマネー障害では、自分も相手も感情的かつ経済的な影響を受け、人間関係をこじらせて心に深い傷跡を残します。

 

また、他人から認められたい、愛されたい欲求が絡むため、自覚するのが難しいのが特徴です。お金の話になるとなぜか人ともめる人は、人間関係におけるマネー障害がある可能性があります。

次ページ人は大なり小なり「マネー障害」を持っている

※本連載は、上原千華子氏の著書『ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー

「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー

上原 千華子

日本能率協会マネジメントセンター

コロナ禍や物価高騰といった経済不安が高まる今、資産形成をしたいと考える人が増えています。 しかし、その考えとは裏腹に、「資産運用をしたほうがいいとわかっているけれど、なんとなく不安で一歩を踏み出せない」「老後…

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