前回は、相続の専門家チームを束ねる適任者について説明しました。今回は、生命保険の非課税枠を活用して相続税を軽減する方法について見ていきます。

相続対策は「生命保険」に加入することから始める

具体策2 「生命保険」というライフジャケットを装着しましょう

 

これから、相続対策を始めようとなさっている奥様にまず実行していただきたいことは、相続事業承継に役に立つ「生命保険」にご夫婦で加入していただくことです。

 

全体の対策を整えるには時間がかかります。まず生命保険という名のライフジャケットを装着していただき、激流に備えてほしいのです。そうすれば、仮に巻き込まれてボートがひっくり返っても浮上することができ、最悪の事態は避けられます。より万全の体制を整えるための対策は、後から時間をかけてじっくり整えていけばいいのです。

 

●生命保険が相続に役立つ11の理由

 

では、生命保険のメリットについて詳しく説明しておきます。全部で11あります。

 

①生命保険で受け取ったお金には相続税がかからない、非課税の枠があります

②請求書類が整えば、すぐに現金化できます

③あらかじめ、受け取る人を決めておけます(生前相続)

④他の相続人との分割協議が必要ない受取人固有の財産となります

⑤相続放棄をしても受け取れます

⑥要件を満たせば、特別受益になりません

⑦契約形態を変更することで、一時所得にすることができます

⑧短期間に、相続対策を整えることができます

⑨個別に設計できるので、予算に応じて自由度が高いです

⑩気が変わったら、解約することができます

⑪相続開始で、生命保険は終わります

現金を生命保険に置き換えれば相続税はゼロに

【①生命保険で受け取ったお金には相続税がかからない、非課税の枠があります】

 

まず①について、事例で考えてみましょう。

 

父が亡くなり、相続人は3人の子どもだけです。父の財産は、自宅が3500万円と預貯金が2500万円の、合計6000万円でした。

 

相続税の基礎控除は、「3000万円+600万円×=3人=4800万円」です。

 

相続税の課税価格は、「6000万円-4800万円=1200万円」となりますので、1200万円に相続税がかかることになります。

 

一方、現金2500万円のうち、生命保険非課税枠の分、1500万円を生命保険契約に置き換えただけで、相続税は無税になります。生命保険は、現金で支払われますので、遺された財産はまったく同じ。それなのに、相続税は1円もかからなくなります。

 

相続財産は、「3500万円+2500万円-1500万円=4500万円」となり、4800万円の基礎控除内に収まります。

 

②以降は次回に続きます。

本連載は、2016年8月27日刊行の書籍『開業医の相続対策は「奥様」がやりましょう』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

開業医の相続対策は 「奥様」がやりましょう

芹澤 貴美子

幻冬舎メディアコンサルティング

開業医は、今、目の前にいる患者さんの命と健康を預かる、専門的な職業です。新しい医療技術のこと、新薬のことなど、たくさんの情報を常に仕入れていなくては務まりません。なかなかお金の知識を得るための時間はないのが現実…

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