「知財ミックス」こそ“ドカ貧”から抜け出す秘策
現在、アップルはこの仕組みをさらに発展させ、自動運転の電気自動車や銀行、ホテル事業にも参入しようとしており、技術やアイデアといった知財に加えて、消費者の生体データ、行動データなども新たな知財として活用しようとしています。
こうした仕組みこそ、「知財ミックス※1」と「ビジョン経営※2」の最高のお手本です。
※1 「知財ミックス」……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。
※2 「ビジョン経営」……明確な方針に向かって事業を展開すること。
私は、約20年間クライアント企業へのコンサルティングを行ってきましたが、知財ミックスを構築して回すことこそが、「失われた30年」によって貧しくなり続けるループから「イチ抜け」できる、超実践的な秘策であることを確信しています。
知財ミックスの仕組みを構築できない企業や個人は、今後もまた「失い続ける」ループから抜け出すことはできないだろうと言っても過言ではありません。しかも、これからの10年、20年は欧米、中国の先進企業に後れを取った「失われた30年」より、さらに厳しいものになるでしょう。
それは、GAFAMと同様に知財ミックスを愚直に実践し、2020年代以降を制すると言われるFANG+の列強企業が、デジタル革命を牽引することで、世界の産業構造や消費者社会を加速度的に変化させており、これまでの数十年よりさらにその変化がすさまじいものになることが予想されるからです。
VUCA時代は、産業構造や消費者社会の変化だけでなく、気候変動や戦争、災害、資源枯渇などに伴うリスクがこれまで以上に高まっており、企業の経営環境はますます厳しくなると考えられます。
その荒波の中で変わることができない企業や個人に待っているのは、じりじりと坂を下るように貧しくなる「ジリ貧」どころの騒ぎではありません。崖に転落していくかのような「ドカ貧」なのです。
読者の皆さんには、自社が目指すビジョンをまっすぐに見据え(必要あらば、そのビジョンを見直し)、提供する商品・サービスの源泉となる知財を磨き上げ、知財ミックスの手法によって、何十年間も失い続けてきた負のループを1日も早く断ち切り、持続的に成長できる進化サイクルに入っていただきたいと思います。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ代表取締役
知財ビジネスプロデューサー
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