(※写真はイメージです/PIXTA)

裕福な家庭に生まれ両親の資産で贅沢をして過ごしたばかりに、まともな金銭感覚が養われずに高齢者になってしまう人も少なくないと、FP1級の川淵ゆかり氏はいいます。そのような人はやはり老後に痛い目に遭いやすく……。今回は、元バイオリニストのAさんの事例とともに、実家が裕福な人に待つ老後をみていきましょう。

とうとう無収入に…

60代になったAさんは、相変わらずお兄さんの家に住み続けアルバイト生活を続けていましたが、新型コロナの影響で勤めていた飲食店も閉店となってしまい、とうとう収入がなくなってしまいます。しかしながら、高齢者向けのシューズ作りで成功したお兄さんの会社は順調で、Aさんはいまでもお兄さんの世話になるような生活を送っています。

 

「今年は私も65歳になるので、少しですがやっと年金が受け取れます。父親に甘え、いまでも兄に甘えた生活を送っていますが、また会社がなくなったらどうしようと不安でもあります。

 

せっかく留学までさせてもらったのに、もっと熱意を持ってバイオリンに向き合っておけばよかったと思っていますし、結婚した相手にもっと尽くしておけば私の人生も変わっていたかもしれません。これからは体もまだ動きますので、なにか仕事があればやってみようと思っています」と、Aさんは言います。

老齢基礎年金の計算

Aさんの年金額を計算してみましょう。Aさんは、厚生年金はなく国民年金だけに加入しており、396月分の保険料を納めていました。なお、国民年金(老齢基礎年金)は、次のように計算します。

 

老齢基礎年金の受給要件

老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。満額(40年加入)の場合の令和5年度の年額は、79万5,000円となります。

 

 

上記より、Aさんの年金額は、

 

79万5,000×396月/40×12=65万5,875円

 

月換算:約5万4,656円

 

となります。とても1人では生活を続けていける金額ではありません。

 

しかしながら、令和2年度の老齢基礎年金の平均受給額は月額5万6,358円、基礎年金を含めた老齢厚生年金の平均受給額は月額14万6,145円となっており、生活の厳しい高齢者は少なくありません。お兄さんのお家で面倒を見てもらえるAさんは幸せだと思います。

 

ただ、お兄さんに万が一が起きると、やはり生活はままならなくなるでしょう。Aさんには似合わない貧困生活に突入してしまいます。体が動くうちにいまから少しでも備えを増やしておきましょう。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

 

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