(写真はイメージです/PIXTA)

23年4-6月の新設住宅着工戸数は前年同期比4.7%減、首都圏のマンション新規発売戸数は同18.8%減、中古マンション新規発売戸数は同1.9%減と、いずれも減少しましたが、価格は上昇を続けています。本稿ではニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、住宅市場と、オフィスや物流施設などを含む不動産サブセクターの最新動向について解説します。

(2) 賃貸マンション

東京23区のマンション賃料は、全ての住居タイプが前年比でプラスとなった。三井住友トラスト基礎研究所・アットホームによると、2023年第1四半期は前年比でシングルタイプが+1.7%、コンパクトタイプが+1.1%、ファミリータイプが+5.0%となった(図表-11)。

 

 

総務省によると、東京23区の転入超過数(2023年1-6月累計)は+47,783人(前年同期比+77%、2019年同期比▲10%)となった(図表-12)。年後半も転入超過のトレンドを維持できるかどうか、注目される。

 

 

(3) 商業施設・ホテル・物流施設

商業セクターは、インバウンド消費が好調な百貨店を中心に売上が回復している。

 

商業動態統計などによると、2023年4-6月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が+7.5%、コンビニエンスストアが+4.5%、スーパーが+2.9%となった(図表-13)。6月単月では、百貨店が+7.2%(16カ月連続プラス)、コンビニエンスストアが+3.2%(16カ月連続プラス)、スーパーが+2.9%(9カ月連続プラス)となっている。

 

 

 

ホテル市場は、日本人の宿泊需要にやや頭打ち感がみられるものの、インバウンドの宿泊需要が順調な回復を示している。

 

宿泊旅行統計調査によると、2023年4-6月累計の延べ宿泊者数は2019年対比で▲4.6%の水準まで回復し、このうち日本人が▲3.4%、外国人が▲9.4%となった(図表-14)。また、STR社によると、6月のホテルRevPARは2019年対比で全国が+5.3%、東京が+14.3%、大阪が▲5.6%となった。

 

 

物流賃貸市場は、首都圏では新規供給の影響を受けて空室率が高止まりしている。シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率(2023年6月末)は8.2%(前期比±0%)となった(図表-15)。

 

今期は新規需要が過去最大の22.5万坪を記録したものの、新規供給(24.4万坪)も多く、前期比で横ばいとなった。既存物件の空室消化も進んでいるものの、空室が多いなかで、テナントは引き続き選別的となっており、物件やエリアの2極化が進んでいるとのことである。近畿圏の空室率は3.2%(前期比▲1.4%)に低下した。
 

また、一五不動産情報サービスによると、2023年4月の東京圏の募集賃料は4,600円/月坪(前期比+2.0%)に上昇した。

 

 
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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年8月9日に公開したレポートを転載したものです。

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