(写真はイメージです/PIXTA)

23年4-6月の新設住宅着工戸数は前年同期比4.7%減、首都圏のマンション新規発売戸数は同18.8%減、中古マンション新規発売戸数は同1.9%減と、いずれも減少しましたが、価格は上昇を続けています。本稿ではニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、住宅市場と、オフィスや物流施設などを含む不動産サブセクターの最新動向について解説します。

2. 地価動向

 

地価は住宅地、商業地ともに上昇基調が継続している。国土交通省の「地価LOOKレポート(2023年第1四半期)」によると、全国80地区のうち上昇が「73」(前回71)、横ばいが「7」(前回9)、下落が「0」(前回0)で、住宅地では4期連続で23地区すべてが上昇となった(図表-7)。

 

同レポートでは、「住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められたことから上昇が継続。商業地では、人流の回復傾向を受け、店舗需要の回復が見られたことなどから上昇傾向が継続した」としている。

 

 

 

また、野村不動産ソリューションズによると、首都圏の住宅地価格(7月1日時点)は前期比+0.5%(年間3.0%)となり12期四半期連続でプラスとなった。東京都区部では都心5区を中心に価格上昇が続いているが、周辺区では横ばい地点が増加しており、全般的に価格の上昇ペースは弱まりつつある(図表-8)。

 

 

3. 不動産サブセクターの動向

(1) オフィス

三鬼商事によると、2023年6月の東京都心5区の空室率は6.48%(前月比+0.32%)、平均募集賃料(月坪)は35カ月連続下落の19,838円(前月比▲0.2%)となった。

 

新築ビルの空室率が34.42%(前月比+6.81%)と上昇するなか、新規供給の増加を受けて賃料の下落圧力が続いている。他の主要都市をみると、建て替えによるオフィス床面積の減少などによって札幌の空室率が低位(2.18%)で推移する一方、大阪・名古屋・仙台が5%台、横浜と福岡が新規供給の影響から6%台に上昇するなど都市間によって空室率の水準に差が生じている(図表-9)。

 

また、募集賃料は仙台と大阪が概ね横ばい、札幌・横浜・名古屋・福岡は前年比プラスとなっている3

 

 

三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2023年第2四半期の東京都心部Aクラスビル賃料(月坪)は25,655円(前期比▲6.6%)に下落し、空室率は5.9%(前期比+1.2%)に上昇した(図表-10)。

 

三幸エステートは、「既存のAクラスビルでは空室消化が進むものの、建築中ビルは依然としてテナント誘致に時間を要する傾向にある」としている。
 

日経不動産マーケット情報(2023年8月号)によると、「東京の賃貸オフィス市場では移転需要が回復傾向にあり、賃料に下げ止まり感がみられる。しかし、今後は2次空室の発生も予想されるため、真に下げ止まったと判断するには、もう少し先を見る必要がある」と指摘している。

 

 

3 2023年6月時点の平均募集賃料は、前年同月比で、札幌(+3.1%)・仙台(▲0.2%)・東京(▲2.1%)・横浜(+0.5%)・名古屋(+0.9%)・大阪・(▲0.1%)・福岡(+1.1%)となっている。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年8月9日に公開したレポートを転載したものです。

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