失敗したら、早めに「損切り」するしかない
キャッシュフローがマイナスで、なおかつ将来性がない物件を、表面利回り4%台、3%台で買ってしまったという場合は売却するしかありません。たとえ、それを勧めてきた業者がどんなにいいことを言ったとしても、です。
表面利回り3〜4%台とは、得られる家賃収入に対して価格が高い、価格が高いわりに家賃収入が低い、ということであり、相当危険な水準です。3〜4%台は、好景気が続く台湾や中国沿岸部の実態に匹敵する利回りです。
ご存知のとおり、台湾や中国沿岸部と日本とでは経済の発展度合いが大きく異なります。この20年間GDPがほとんど伸びていない国の不動産が、10年で5倍、10倍になる国の不動産と同じ価値であるというのは、どう考えてもおかしい数字です。これはアベノミクスとコロナバブルによって溢れたお金が、不動産と株に流れた結果です。
繰り返しますが、物件価格の上昇を期待するのは難しく、キャッシュフローがマイナスになれば多くの場合、損失が広がるだけです。
さらに、金利上昇などをきっかけに不動産市場が崩れ始め、万が一、2011年当時の水準まで景気後退するようなことがあれば、表面利回りが10%程度になるまでに価格を下げなければ売却できません。そうなれば数百万円の補填では済みません。
そうなる可能性がなきにしもあらずという状況ですから、そうならないうちに売った方がいい。価格が上がると思うケース以外は、損切りが合理的な判断だと思います。
滝島 一統
株式会社光文堂インターナショナル
代表