「想定外」のアクシデントに見舞われることも想定に入れる
最低を確保しても、世の中には想定外のことが起こります。コロナ禍もそうです。せいぜい2、3カ月、長くて半年だろうと思っていたのに、2年、3年と影響が続き、テナントが退去して苦戦する物件も目立ちました。誰も予想しなかった困難が舞い降りてくる、「ブラックスワンがやってきた」ような状況に見舞われる可能性にも備えておきたいところです。
たとえば年間家賃100万円の物件を3,000万円・利回り3%で買ったとします。もし景気が後退すると利回りが10%程度でないと売ることができず、1,000万円くらいまで値下げしなければなりません(100万円÷1,000万円×100=10%)。
そうなるとローンを返しきれない可能性が高いですから、持ち続けざるを得ない場合もあります。そのうえ不景気で家賃も下げなければならず、利回りはさらに下がります。退去者が出れば入居者を募集しなければなりませんが、不景気で空室率が高くなっていますから、入居者獲得のために広告料が必要になるかもしれません。
「最悪の事態」でも生きられないなら不動産投資はNG
こういう話をすると、「不安を煽っている」などと言う人もいますが、投資物件の仲介という業務をする以上、リスクを説明するのは重要な仕事です。最悪の事態に陥っても大丈夫(生活に支障がない)という人でなければ、不動産投資は勧められないし、そういう人でなければ買ってはいけないのです。最悪どうなるかを説明するのは当たり前です。
株式投資では、証拠金を入れると、その何倍もの資金を投資したのと同じ成果が得られる信用取引という投資手法がありますが、一定以上の投資経験がある人でなければ取引ができません。期待できるリターンが大きい代わりにリスクも大きいため、相応な知識と経験が必要とされるのです。
不動産投資は1,000万円単位の借金をして行うものなのに、いともたやすく投資する人がいるし、知識や経験も問われない。そしてそれを守る法律もありません。いくら慎重に考えても考えすぎと言うことはないのです。