2|課題:社会の変化に伴う役割の低下や仕組みに対する不公平感
加給年金のうち、老齢厚生年金の受給権者に給付される配偶者分の加給年金に対しては、以前から複数の課題が指摘されている。
例えば、社会の変化との関連で、共働き世帯が増加しているために必要性が薄れているという指摘や、女性の活躍の推進や60代前半の就労の推進に逆行するという指摘がある。
また、仕組みに対する不公平感として、厚生年金の加入期間によって受給の可否が分かれることや、夫婦の年齢によって累積受給額に違いが生じること、繰下げ受給を選んだ場合は待機中に受給できず待機後に年金額の割増の対象にならないことなどが、指摘されている。
3|展望:基礎年金拠出期間の延長とセットで、段階的に廃止か
社会全体としては共働きや60代前半の就労が進展しているものの、病気や家族の世話などで働けず扶養の対象となっている人々も存在するため、見直しには慎重な検討が必要だろう。
その一方で、次期改革に向けた検討事項として挙げられている基礎年金拠出期間の64歳までの延長と合わせて考えれば、「64歳までは拠出期間であり、老齢年金の給付は加算も含めて65歳以上が対象」と、わかりやすく整理することも可能であろう。
制度の存廃や縮小に加えて、段階的に廃止・縮小する場合の経過措置などについて、今後の議論を注視したい。
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