中小企業の経営者を対象としたアンケート調査の結果
全研本社が実施した日本の中小企業の経営者を対象としたアンケート調査によると、新しく採用する外国人のIT人材に「年700万以上800万円未満の賃金を考えている」との回答が最も多かった。一方で、新しく採用する日本人のIT人材の想定賃金で最も多かった回答は「300万円未満」だった。日本の中小企業が外国人の採用を高度人材に絞りがちなこともあり、日本人と外国人のIT人材の賃金に格差があることが浮き彫りになった。
7割以上が「外国人IT人材に年500万円以上の賃金を支払う」
調査は全研本社が中小企業の経営者を対象に2月24~26日に実施し、200件の回答を得た。回答した企業の業種は建設業、製造、卸売・小売、不動産、サービス、情報通信、金融・保険、宿泊など。
全研本社が「新しく採用する外国人のIT人材に対して(年間で)どのくらいの賃金を考えているか」と質問したところ、「700万円以上800万円未満」との回答が27.3%で最も多かった。2番目に多かったのは、「1,000万円以上」と「400万円以上500万円未満」で、ともに18.2%だった。次に多かったのは「600万円以上700万円未満」で13.6%。「300万円以上400万円未満」「500万円以上600万円未満」が9.1%で続いた。
今回のアンケートで採用する外国人のIT人材に「500万円以上の賃金を考えている」との回答は合計すると7割超にのぼった。国税庁の民間給与実態統計調査によると、2021年の日本の給与所得者の平均年収は443万円にとどまる。大半の中小企業の経営者が考えている外国人IT人材の賃金は、一般的な日本のサラリーマンの賃金を上回っていることがわかった。
日本人のIT人材に対しては
一方、「新しく採用するIT人材(日本人)にどのくらいの賃金を考えているか」と聞いたところ、最も多かったのは「300万円未満」との回答で、29.5%を占めた。外国人IT人材について「300万円未満」と回答した人はゼロで、中小企業が検討している日本人のIT人材と外国人のIT人材の賃金に格差があることを示した。
次に多かったのは「400万円以上500万円未満」で17%だった。「500万円以上600万円未満」(15.5%)、「300万円以上400万円未満」(13%)がそれに続いた。中小経営者が考える日本人のIT人材の賃金は、日本人の平均年収に近い水準に集中している。
「1,000万円以上」との回答は6.5%にとどまった。「700万円以上800万円未満」は6%、「800万円以上900万円未満」は2%、「900万円以上1,000万円未満」は0.5%。日本の平均年収を大幅に超える700万円以上の賃金を支払うという回答は、軒並み下位に沈んだ。
今回のアンケート調査では、外国人のIT人材を「採用した」「採用の予定がある」「興味がある」との回答は全体の27%にとどまった。中小企業による外国人のIT人材の採用は、今のところ一部の企業にとどまっており、賃金の高い高度人材に偏っている可能性がある。日銀による超金融緩和を背景に、外国為替市場で円相場が低迷していることもあり、外国人に円ベースで高い賃金を払う必要があることも影響しているとみられる。
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