社員「彼が社長になったら、会社はどうなるのか?」…資質も能力もない“後継者のボンクラ息子”をクビにした話

社員「彼が社長になったら、会社はどうなるのか?」…資質も能力もない“後継者のボンクラ息子”をクビにした話
※画像はイメージです/PIXTA

日本独特の慣行や制度ゆえに、日本の中小企業の多くが親族間の継承を行っています。しかし、それによって資質や能力のない経営者が生まれ、また、いつまでも「切れない」存在として会社の負荷となってしまっていることがあります。企業の経営者や個人事業主向けに、経営の一方策として「捨てる」ことの重要性を問う本連載。組織変革プロデューサー・小早祥一郎氏著書の『8割を捨てて2割に集中する 捨てる経営 (捨てると会社の本質が見えてくる→どうすれば儲かるのかわかる!)』(スタンダーズ)より、一部抜粋して紹介します。本稿では、先代、あるいは後継者を「捨てる」メリットについて、事例を交えて解説します。

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後継者のボンクラ息子を切った

A社は製造業です。大手メーカーの下請けとして、順調に社業を営んでいました。しかし、社長が高齢化してきて、そろそろ後継者を、という雰囲気になります。社長には息子がいて、A社で働いていました。ただし、あまり出来の良い人物ではありません。遅刻の常習犯です。会議や研修では、毎回のように居眠りしていました。しかし、他に選択肢がない、という理由で、あるとき社長が彼を後継者に指名してしまったのです。

 

社長にしてみれば、資質も能力も足りないことは重々承知の上で、後継者に指名することで自覚を促し、奮起を期待したのです。ところが、その後も息子の行状には改善が見られません。社員の中にも、「彼が社長になったら、会社はどうなるのか?」と、動揺が走ります。

 

ついに社長も、これではいけない、と観念して、息子をクビにしたのです。社長としては、後継者はプロパー社員から選ぶか、それができなければ、M&Aで他社に買い取ってもらおう、という覚悟を決めたようです。

 

プロパー社員に後を託す

R社は建築業です。あるとき社長が、脳梗塞で倒れ、半身にマヒが残りました。社長を続けるのは困難です。子どもがいなかった社長は、思い切って、プロパー社員に、後継者になってくれないかと打診したのです。連帯保証人を引き継ぐことも含めてです。

 

すると意外にも、その社員が承諾してくれたのです。数千万円の借入金の連帯保証人を、身内でない人間が引き継ぐというのは、よほどの勇気がいることです。R社において、理念やビジョンを明文化し、経営計画書を作成し、進む方向性が明確になっていたことが、彼の背中を押してくれたようです。

 

彼が代表取締役社長となった今でも、R社は、順調に社業を続けています。

 

〈まとめ〉

「身内だから切れない」は、単なる甘え。社長の信念と覚悟があれば、身内を捨てて最適な経営体制をつくることができる。

 

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8割を捨てて2割に集中する 捨てる経営(捨てると会社の本質が見えてくる→どうすれば儲かるのかわかる!)

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小早 祥一郎

スタンダーズ

「社長、まず捨ててください」 「モノ」「情報」「壁」「商品・資産」「人間関係」「しがらみ」…会社にムダなものがなくなると、びっくりするほど業績が上がる! 「増やす」「加える」ではなく「捨てる」という逆転発想の成…

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