理念に共感できない社員は去るのみ
扱いに困る「できる人」
社員は、自社の利益を支える源泉です。しかし中には、捨てたいと願う人物もいます。わかりやすいのは、ミスを繰り返す、事故やケガが多い、営業成績が振るわない、といったケース。このような場合には、誰でも「捨てたい」と考えることでしょう。
問題は、「できる人」の扱い。社員の中には、営業成績が良く、稼ぐ金額が大きい人。技術やスキルがあり、製品の製作で一目置かれるような人。そうでありながら、会社の方針に従わず、態度が不遜で、社員間でトラブルを起こすなどの「問題児」である人がいます。
「できる人」が会社を蝕む
仕事はできるけれども問題のある社員を放置しておくと、
・他の社員の士気が低下する
・プロセスを軽視し、結果のみを追求する社風になってしまう
・会社の方針や上司の指示に従わない社風になってしまう
といった問題が起きてきます。だから、こうした「できる人」でありながら「困った人」を雇い続けることは、実は思った以上に危険なことであり、これを「捨てる」ことを真剣に検討すべきなのです。
とはいえ経営者にとっては、彼らのスキルやもたらす利益は捨てがたいもの。よく、「困ったことに、あの人がいないと、業務が回らないんだよ」という声を聞きます。確かに、目先の損得を考えれば、雇い続けた方がいいでしょう。しかし、長期的な視野に立てば、どこかで雇い止めしなければ、会社の屋台骨がじわじわと浸食されていって、気がついたときにはボロボロになっている、ということだってあり得るのです。
だから、経営者には、断腸の思いで「捨てる」決断が必要になります。
社員の捨て方
自社にとって捨てるべき社員とは、その人ができる人かできない人か、もたらす売上が大きいか小さいかなどにかかわらず、「会社の方針に従わない」「会社として実施している朝礼や掃除、会議などに参加しない」「会社の指定した勉強会に参加しない」「横柄な態度や言葉遣いをする」「他の社員とトラブルを起こす」「社外で会社の悪口を言いふらす」「車の運転が荒い」などの人です。
このような社員に対しては、まず、会社の方針に従うべきことを、しっかりと伝えます。口頭よりも書面にしたほうがいいでしょう。証拠が残りますので。それでも改まらない場合には、役職を解いたり降格したり、賞与金額を下げるなどの措置をとります。
成績の良い社員に対して遠慮し、何の注意も指導もせず、放置しておくケースも多いようですが、それでは相手に伝わりません。こうした措置を続けていくことで改まる社員もいますし、これを続けても改まらない場合には、いずれ本人から退職願が提出されることでしょう。「ここには自分の居場所はない」と悟るはずです。
掃除をしない社員が辞めていった
T社で、整理・整頓の活動をスタートさせたときに、社内には抵抗勢力がいました。取り組みが進むにつれて、抵抗勢力の多くは、推進派に転向していったのですが、1人、頑強に抵抗する社員がいました。
事務職なのですが、仕事はできるのです。ただ、彼のデスクの上には書類や事務用品が山積みになっていました。それを、整理・整頓してクリアにしましょう、と促すのですが、まったく応じません。だんだん、周りのデスクがキレイになってきますが、彼のデスクのみが取り残されたままです。
ここに至って、上司も、もう特別扱いはできなくなります。「あなたもデスクの上を整理しなさい」と命じたところ、彼は、「それなら私は辞めます」と言って、退職したのです。実はこの社員、以前からトラブルメーカーでした。会社の方針に従わないこともしばしばあり、周りの社員も困っていたのです。今回、「社内の掃除」に取り組むことで、はからずも「人材の掃除」をすることができたのです。
善良な社員の士気を下げないために
「仕事はできるが困った社員」を捨てることの、一番の必要性は、他の社員に対する影響です。降格や役職を解くのは、本人への懲罰的な意味合いもありますが、むしろ、他の社員に対する会社としての意思表示の意味合いが大きいです。
その人に対して不満を抱えている社員にとってみれば、自分が救われた気持ちになることでしょう。結果として、他の社員の定着率は良くなり、もともと会社方針に従って行動していた社員のモチベーションが上がる効果が期待できます。
問題のある社員を「捨てる」ことで、他の善良な社員を生かすことができるのです。
〈まとめ〉
目先の損得勘定を捨てて、会社の方針に従わない社員を捨てる。一時的に失うものがあっても、他の社員たちの士気が上がれば、すぐに取り返せる。
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