数次相続が生じた場合の遺産分割はどのように行う?
一次相続の場合に加え、新たに二次相続の法定相続人が加わる可能性もあります。例を挙げ、数次相続の遺産分割について解説しましょう。
(1)一次相続発生:被相続人A死亡
・遺産総額:3,000万円
法定相続人は次の通りです。
・配偶者B
・長男C:子供E・妻Fがいる
・次男D
ただし、配偶者B・長男C・次男Dが相続を承認、遺産分割協議で遺産分与が決まる前、長男Cが死亡
(2)二次相続発生:長男C死亡
・長男Cの一次相続分→子供E・妻Fが相続、協議に参加
協議により、一次相続分は配偶者B・長男C・次男Dで3等分と決めた場合
・配偶者B:1,000万円
・長男C:死亡したので、子供E・妻Fが1,000万円の範囲で分割
・次男D:1,000万円
当然ながら長男Cが生前に所有していた金融資産・不動産は、子供E・妻Fが相続します。
数次相続における相続登記の手続き方法や流れを紹介
こちらでは数次相続における相続登記の手順、必要書類について解説します。
数次相続における相続登記の手順
具体例をあげて登記手続きの流れをみていきます。
(例)被相続人Aの不動産を配偶者B・子供Cが共有不動産とするはずだった。しかし、一次相続の協議中に子供Cが死亡。
・被相続人A:死亡
・法定相続人:配偶者B
・法定相続人:子供C(死亡)妻Dがいる
二次相続の遺産分割協議にて、子供Cの分を妻Dが相続すると決定
この場合の手順は次の通りです。
1.必要書類の収集
2.被相続人Aから配偶者B・子供Cへまず相続登記をする
3.その後、子供Cから妻Dへ相続登記をする
1次相続が単独相続でない場合(配偶者B・子供Cの共有)、被相続人Aから妻Dへ直接相続登記をする方法は認められません。
必要書類
相続登記の必要書類は主に次の通りです。もちろん、二次相続人も書類を準備する必要があります。
数次相続の場合の遺産分割協議書・相続関係説明図の書き方
こちらでは数次相続が発生した場合の遺産分割協議書、相続関係説明図の作成方法を解説します。
遺産分割協議書の作成方法
基本的には数次相続の遺産分割協議書の作成内容は、通常の遺産分割協議書と大きな違いはありません。
ただし、遺産分割協議書が完成する前に法定相続人が亡くなった旨を明記しましょう。主に2つの方法があります。
協議書に一文を追記
例えば次のように法定相続人が亡くなってしまった事実を明記します。
(例文)
被相続人〇〇の相続が開始したため、相続人全員で協議を行ったところ、後記のとおり遺産分割協議が成立した。なお、相続人の1人である被相続人の妻△△については、令和5年6月11日に死亡したため、妻△△の相続人である長男□□及び次男××がその地位を承継し、協議に参加した。
相続人兼〇〇を追記
死亡した相続人には氏名の横に「相続人兼被相続人」、死亡した相続人の相続人には「相続人兼(死亡した相続人の氏名)の相続人」と明記して対応します。
(例文1)死亡した相続人
被相続人の氏名・死亡日時・最後の住所地・最後の本籍地のすぐ下へ記載します。
相続人兼被相続人〇〇(令和5年6月11日死亡)
最後の住所 埼玉県さいたま市〇丁目〇〇
最後の本籍 埼玉県さいたま市〇丁目〇〇
(例文2)死亡した相続人の相続人
署名捺印する部分に次のように明記します。
相続人兼〇〇〇〇の相続人 東京北区赤羽〇丁目〇〇 氏名