6.為替
<現状>
円相場は、日銀によるYCC修正を受けて、振れが大きい展開となりましたが、主要通貨に対し前月比でやや上昇しました。ただ、日銀が今後も大規模な金融緩和を続けるとの見方から、円の上昇幅は限られました。円の対米ドルレートは、米国の物価指標が鈍化傾向を示したことでFRBの利上げ打ち止め観測が高まったことや、日銀が金融政策決定会合でYCCの修正を行ったことを受けて、上下に振れたものの、月末は142円台と、前月末の144円台から上昇して終了しました。円の対ユーロレートも、前月末の157円台からやや上昇し、156円台で終了しました。また、円の対豪ドルレートも、日銀がYCCの柔軟化を実施したことなどを受けて、小幅に上昇しました。
<見通し>
円の対米ドルレートは、FRBの利上げが最終段階に入りつつあるとみられることから、もみ合いながら緩やかに上昇する展開を予想します。先行きは米国の景気とインフレが鈍化するため、FRBによる利下げが意識され、米長期金利の低下に伴う日米金利差の縮小を背景に、円が小幅に上昇すると想定しています。円の対ユーロレートも、レンジ内でもみ合いながら小幅に上昇すると予想します。ECBの利上げサイクルは、米国同様に終盤にあるとみられることから、先行きの欧州金利の低下による金利差縮小が円の買い材料となるとみています。また、円の対豪ドルレートも、小幅に上昇する展開を予想しています。中国経済の減速により豪州景気や資源価格が抑制されるとみられ、豪ドルは対米ドルでレンジ内でもみ合うとみているためです。
7.リート
<現状>
グローバルリート市場(米ドルベース)は、米国のソフトランディング期待が高まり、投資家のリスク選好姿勢が強まったことから、上昇しました。米国リート市場は、米国景気が底堅く推移していることから長期金利が上昇したものの、インフレが鈍化傾向を示したことからソフトランディングの期待が高まり、株式市場が堅調に推移したことを好感して、上昇しました。欧州やアジアのリート市場も株式市場の上昇を好感して、反発しました。日本リート市場も、日銀によるYCC修正で長期金利が上昇したものの、上昇しました。S&Pグローバルリート指数(米ドルベース)のリターンは前月末比+3.2%となりました。また、為替効果がマイナスに寄与し、円ベースのリターンは同+1.5%となりました。
<見通し>
米国リート市場は、FRBの利上げが最終局面に近いとみられるなか、米国経済が底堅く推移する見込みであることから、緩やかに上昇するとみています。ただし、FRBの金融引き締め長期化や商業用不動産に対する融資厳格化などが警戒されるため、当面振れの大きい動きになることが見込まれます。欧州リート市場は、ECBによる金融引き締めの継続やウクライナ情勢の影響から当面上値の重い展開を想定します。日本リート市場は、景気回復の動きが続くなか、日銀の金融政策の不透明感か後退したことから上昇するとみています。アジア・オセアニアリート市場は、景気回復に伴いシンガポール中心に緩やかに上昇するとみています。