5.企業業績と株式
<現状>
S&P500種指数の7月の予想1株当たり利益(EPS)は235.2で、前年同月比▲0.8%でした。前月比は+0.9%と6ヵ月連続のプラスとなりました。TOPIXの予想EPSは161.1、前年同月比は同+3.4%でした。前月比は+1.3%と4ヵ月連続のプラスでした。
7月の米国株式市場は堅調でした。中でもNYダウは26日まで13日間の続伸と、1987年1月以来の連続上昇を記録しました。底堅い景気と物価の鈍化が確認されたことや4-6月期の企業業績が総じて好調であったことなどが背景です。NYダウは前月比+3.3%、S&P500種指数は同+3.1%、NASDAQ総合指数は同+4.0%でした。一方、日本株式市場は、日経平均株価が月初に33年ぶりの高値を更新したものの、高値警戒感から利益確定売りなどに押される展開となり、その後月末にかけて値を戻しました。日経平均株価は前月比▲0.1%、TOPIXは同+1.5%でした。
<見通し>
S&P500種指数採用企業の増益率(純利益ベース)は4-6月期が前年同期比▲6.4%(除くエネルギーセクターで同▲0.3%)ですが、7-9月以降は増益転換が予想されています(7月28日。リフィニティブ集計)。7-9月以降の見通しを先月と比べると、全体では小幅な下方修正ですが、除くエネルギーセクターベースではむしろ小幅な上方修正となっています。一方、TOPIX採用企業の23年4-6月期の純利益は前年同期比+42.5%と予想されており、好調を維持しそうです(8月1日。3月期決算企業で除く金融、QUICK集計)。
米国株式市場は、底堅い経済指標が続くことやインフレ率が鈍化する基調にあることなどを受けて、景気敏感業種へとやや広がりを見せながら緩やかな上昇が継続すると思われます。ただ、利下げまでの時間的な距離は遠く、景気後退懸念も払拭されたわけではないため、変動率が大きくなる可能性があります。一方、日本株式市場は引き続き高値警戒感が燻ることで上値の重い場面も想定されます。その後は、総じて堅調なマクロ指標と企業業績、日銀がYCCを修正したものの、金融緩和政策は維持される見通しとなったことなどを背景に、再び堅調な展開に戻ると期待されます。