(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、7月のアジア・マーケットを振り返ります。

アジア:マーケット動向

⇒【株式】上昇、【通貨】まちまち、【債券】まちまち。

 

【株式市場】

◆米国のインフレ鈍化や中国の政策期待が追い風

アジア・オセアニア株式市場は、米国における6月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ終了への期待感が高まったことなどを背景に上昇。ベトナムは、政府による景気支援策への期待感から上昇し、香港も7月下旬に開催された中央政治局会議において、住宅市場を活性化する意思が示されたことなどが好感された。また、インフレ率鈍化により政策金利が据え置かれたマレーシアや、下院総選挙後の新政権樹立を巡る不透明感が若干薄らいだタイも堅調だった。シンガポールでは、利ざや拡大余地を示唆した大手銀行株が上昇し、台湾では、人工知能(AI)サーバーに対する需要拡大期待が高まり一部IT関連銘柄の株価が大幅に上昇。インドは5ヵ月連続で海外投資家からの資金が流入した。

 

 

【通貨(対米ドル)】

◆まちまち

米ドルは7月中旬に下落した後、月末にかけて上昇した。こうしたなか、政治膠着の最悪期を脱したとの期待感からタイバーツが最も上昇した。利食いとみられる株式市場からの資本流出を受けて台湾ドルが最も下落した。

 

 

【債券(国債)市場】

◆まちまち

これまで利下げが実施されてきたベトナムの国債利回り低下が継続したが、その他各国の利回り変化は上下まちまちのなか小幅にとどまった。オーストラリア、マレーシア、韓国ではインフレ鈍化の兆しや経済先行きの不確実性をふまえ政策金利据え置きで影響は限定的。

 

 

<※参照:各国の株価指数の名称>

●中国:上海/深圳CSI300指数、●香港:ハンセン指数、●韓国:韓国総合株価指数●台湾:台湾加権指数、●インドネシア:ジャカルタ総合指数、●マレーシア:クアラルンプール総合指数、●タイ:SET指数、●ベトナム:ベトナムVN指数●シンガポール:シンガポールST指数、●フィリピン:フィリピン総合指数、●インド:SENSEX指数、●オーストラリア:ASX200指数

次ページ中国<金融市場動向>

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