(※画像はイメージです/PIXTA)

受験に臨むにあたって、偏差値や模擬試験の判定を正しく理解することは重要です。偏差値や判定の捉え方を間違えてしまうと、数字に振り回されて誤った判断をしてしまって、メンタルダウンに繋がる可能性があります。そもそも偏差値とは何なのか、どのように活用すればよいのか。綿谷もも氏が現役医大生時代に書いた著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

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偏差値を「順位」で捉えると、“より正確な現在地”が見えてくる

まずは偏差値について正しく理解し、活用できるようにしましょう。

 

偏差値はよく使う指標ですが、一体何を表す数値なのでしょうか。

 

偏差値とは、テストの難易度、受験生の学力や点数の分布などの条件を均一化させ、「自分は受験生全体の中でどの立ち位置にいるか」を知ることができる指標です。

 

偏差値は順位で捉えることで、正しい活用方法が見えてきます。

 

■「偏差値を60から65へ」「偏差値65を70へ」…同じ“偏差値+5”でも難易度は大違い

「偏差値を5上げる」という状況を考えてみると、偏差値を60から65に上げるのと偏差値を65から70に上げるのでは、同じ「5の差」でも難易度は大きく異なります。

 

全体を10万人とする受験生の点数が正規分布している場合、偏差値と人数(割合)の対応はこちらです。

 

-----------------------------------------

偏差値50→上位50% 50000人

偏差値55→上位31% 31000人

偏差値60→上位16% 16000人

偏差値65→上位6.7% 6700人

偏差値70→上位2.3% 2300人

偏差値75→上位0.6% 600人

-----------------------------------------

 

この通り、偏差値を60(上位16%)から65(上位6.7%)に上げるためには、倍以上の集団に入るよう成績を上げなければいけません。つまり、半数を追い抜かないといけないのです。

 

偏差値を65から70に上げるためにはさらに3倍近く追い抜かないといけないことがわかります。偏差値65というと、他の受験生も優秀で努力をしているため、それを追い抜くのは簡単なことではありません。

 

よく「偏差値を10上げる勉強法」といったノウハウを見かけますが、偏差値50から60に上げるのと偏差値60から70に上げるのでは、かかる労力は全く別物です。

 

偏差値は数字自体を目標にするのではなく、順位で捉えることがおすすめです。順位で捉えることで、自分がどの受験層(受験生のレベル)にいるかを把握することができます。

偏差値がわかれば「模試の判定」は自動で出せる

模擬試験の判定を重視している受験生も多いと思うので、判定についてもご説明します。

 

ある大手予備校の模擬試験の合格判定は大学ごとの偏差値ボーダーをC判定として、そこから2.5刻みで判定を行っています。

 

例えば、ボーダー偏差値が70の大学であれば、下記のような判定となります。

 

---------------------------

偏差値75以上→A判定

偏差値72.5-75→B判定

偏差値70-72.5→C判定

偏差値67.5-70→D判定

偏差値67.5未満→E判定

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偏差値がわかれば、判定は自動で計算できるということです。試験によっては、仮に全教科で満点を取ってもA判定が出ない医学部が存在することもあります。

 

模擬試験や判定は、医学部合格の可能性を直接反映する絶対的な指標ではありません。判定がよくなくても、医学部に合格する人はたくさんいます。

 

判定が下がったからといってメンタルが崩れてしまっては本末転倒です。あくまでも参考程度の指標と考えるのがよいでしょう。

偏差値や判定を出すためではない…模試を受ける本当の目的

偏差値や判定の活用方法はお分かりいただけたでしょうか。偏差値や判定を出すことが目的ではないとなると、模擬試験は何のために受けるのか疑問に感じるかもしれません。

 

模試を受ける目的は大きく3つあります。

 

【目的①】試験の解き方の練習ができる

試験の解き方を身につけておくことは医学部合格において不可欠です。もちろん普段の勉強でも工夫してできることはありますが、やはり一番効果的なのは模擬試験を受ける中で自分のパフォーマンスを確認し、分析することです。

 

時間制限があり緊張感がある中で、時間配分の工夫やミスを減らす解き方を練習し、本番の判断力やメンタル面の分析を行いましょう。

 

【目的②】自分の基礎力のチェックができる

模擬試験を受けることで、基礎力がしっかりとついているか、自分の苦手なところはどこかを探すことができます。特に大手予備校の模擬試験は、基礎力をチェックするために良い問題が出題されています。

 

基礎力が身についていれば解ける問題を中心に出題されるため、普段の勉強では気づきにくい自分の弱みを見つけ出すことが可能です。模擬試験で自分の弱点を見つけることで、勉強方法を修正できるという大きなメリットがあります。

 

【目的③】普段の勉強内容を分析する材料となる

先ほど出てきた通り、学習効率を考える上で分析は非常に大切です。そして、模擬試験は分析の材料としてもってこいです。

 

模試で間違えてしまった箇所は、まずは「なぜ間違えたのか」を考えてみましょう。失点原因がわかると、自分に何が不足しているのかが明らかになるはずです。

 

暗記の仕方で甘いところがないか、理解は十分にできているのか、科目や分野のバランスは取れているかなど、普段の勉強内容をより良くできないか考えてみましょう。

 

 

【執筆】綿谷 もも

医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。

医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。

 

【監修】高梨 裕介

医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師

医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。

中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。

自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。

※本連載は、綿谷もも著・高梨裕介監修の書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(幻冬舎ルネッサンス)より一部を抜粋し、記事化したものです。

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

綿谷 もも(著)
高梨 裕介(監)

幻冬舎メディアコンサルティング

【医学部に「最短距離」で合格する方法、教えます。】 現役医大生(※書籍刊行当時)の筆者が、自身の医学部受験経験、塾の講師として医学部受験生を指導してきた経験をふまえて、医学部受験に「本当に必要なこと」を徹底解…

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