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財産を生前贈与してかかる贈与税は、贈与の方法を工夫すれば贈与税が安くなる場合があります。財産を贈与された人が払う税金が安くなれば、活用できる財産が増えるので、生前贈与をする際には節税について十分に検討しておきたいところです。本稿では、税理士法人ブライト相続の天満亮氏監修のもと、生前贈与の手続きの流れや税金を安くする方法、不動産や現預金、株式を生前贈与するときの注意点について解説します。

生前贈与で税金を安くする方法

財産を生前贈与すると贈与税の課税対象になりますが、贈与するときの方法を工夫すれば、贈与する財産の金額が同じでも贈与税を安く抑えられる場合があります。以下では主な節税方法を紹介するので、生前贈与を検討中の方は実際に活用できる方法がないか確認してみてください。

 

1.贈与額を年間110万円以内にする

贈与税は、贈与額から基礎控除額110万円を引いたうえで税率をかけて計算するので、1年間の贈与額を110万円以内にすれば贈与税はかかりません。

 

たとえば、成人の孫に300万円をまとめて贈与すると19万円の贈与税がかかりますが、3年間かけて各年に95万円・100万円・105万円を贈与した場合は、いずれの年も贈与額が110万円以内なので贈与税がかからずに済みます。

 

生前贈与の方法を工夫するだけで19万円も節税でき、納税後に孫の手元に残る額がこの分だけ増えることになります。

 

2.住宅取得等資金の贈与の特例制度を活用する

子や孫に住宅を新築・購入するための資金を贈与する場合、贈与税の特例制度を使えれば、省エネ等住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円まで贈与税がかかりません。

 

特例制度を使えるのは直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の直系卑属(子や孫など)に贈与する場合です。贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて、住宅用家屋の新築等をする必要があります。

 

年末に贈与すると翌年3月15日までの期間が短く、万一住宅の新築等が間に合わないと特例制度の要件を満たさず贈与税が高くなる場合があるので、贈与を行う時期に注意してください。

 

3.教育資金の一括贈与の特例制度を活用する

子や孫に教育資金を贈与する場合、贈与税の特例制度を使えれば、学校等に支払う金銭は1,500万円まで、それ以外の金銭は500万円まで贈与税がかかりません。

 

特例制度を使えるのは直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の直系卑属(子や孫など)に贈与する場合です。学校に払う入学金や授業料、保育園に払う入園料や保育料、学用品の購入費、学校給食費などが対象となります。

 

当特例制度を使うためには、教育資金を管理するための口座の開設が必要です。教育資金を贈与したあとに口座を開設しても非課税にはならないので、金融機関で手続きをして口座を作るようにしてください。

次ページ4.結婚・子育て資金の一括贈与の特例制度を活用する

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