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財産を生前贈与してかかる贈与税は、贈与の方法を工夫すれば贈与税が安くなる場合があります。財産を贈与された人が払う税金が安くなれば、活用できる財産が増えるので、生前贈与をする際には節税について十分に検討しておきたいところです。本稿では、税理士法人ブライト相続の天満亮氏監修のもと、生前贈与の手続きの流れや税金を安くする方法、不動産や現預金、株式を生前贈与するときの注意点について解説します。

4.結婚・子育て資金の一括贈与の特例制度を活用する

子や孫に結婚資金や子育て資金を贈与する場合、贈与税の特例制度を使えれば、結婚に関する金銭は300万円まで、子育てに関する金銭は1,000万円まで贈与税がかかりません。

 

特例制度を使えるのは直系尊属(父母や祖父母など)から50歳未満の直系卑属(子や孫など)に贈与する場合です。挙式費用や転居費用、不妊治療・妊婦健診に要する費用や分べん費、産後ケアに要する費用、子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料などが対象になります。

 

当特例制度を使うためには、結婚・子育て資金を管理するための口座の開設が必要です。結婚・子育て資金を贈与したあとに口座を開設しても非課税にはならないので、あらかじめ金融機関で手続きをして口座を作るようにしてください。

 

5.夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除を活用する

配偶者に居住用の不動産を贈与する場合や居住用の不動産を取得するための資金を贈与する場合、贈与税の配偶者控除を使えれば2,000万円の贈与まで贈与税がかかりません。

 

特例制度を使えるのは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で行われる贈与です。贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与で取得した居住用不動産、または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に受贈者が住んでおり、その後も住む見込みであることが条件となります。

 

なお不動産を相続で配偶者に渡す場合、配偶者は1億6,000万円の遺産相続まで相続税がかかりません。相続で不動産を配偶者に渡しても税金がかからずに済むケースが多いので、節税が目的であれば生前贈与で渡す必要性は高くありませんが、生前に確実に不動産を配偶者に渡しておきたい場合には、贈与税の配偶者控除を活用して渡してもよいでしょう。

生前贈与を損せず行うために

相続税の課税対象になる遺産を減らして節税をしたい場合や特定の人に確実に財産を渡したい場合、子や孫に早く財産を渡して活用してもらいたい場合には、相続まで待たずに財産を生前贈与することを検討してみましょう。

 

財産を生前贈与すると贈与税の課税対象になりますが、今回ご紹介したように贈与の方法を工夫したり特例制度を活用したりすることで、贈与税を安く抑えられる場合があります。

 

ただし、生前贈与をするときには贈与契約書を作成し、現金手渡しは避けて銀行振込にして履歴を残すなど、気を付けるべき点も多いです。生前贈与の方法を間違えると、現預金や不動産、株式の贈与後に問題が起きる場合があるので注意しましょう。このように節税や財産の有効活用など、生前贈与を損せず、スムーズに行なうためには専門的な知識が必要です。

 

 

天満 亮

税理士法人ブライト相続

税理士

 

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