(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人以外が寄与分を主張することができる「特別寄与料」という制度をご存知でしょうか? 本稿では、相続の際に知っておくべき「特別寄与料」について、請求するための条件や限度額、相場等を解説します。

相続人以外に財産を残す方法はあるのか?

被相続人は、自分のためにいろいろと貢献してくれた相続人以外の親族のために、次のような方法で財産の贈与が可能です。

 

生前贈与を行う

被相続人が生前に貢献してくれた相続人以外の親族へ、金銭等を贈与する方法です。毎年110万円以内に抑えて金品を贈れば、受贈者(贈与を受ける人)に原則として贈与税はかかりません(暦年贈与)。

 

なお、生前贈与は誰に対しても行えるので、いろいろと貢献してくれたが特別寄与料に該当しない、友人・知人・内縁のパートナーへも贈与が可能です。

 

遺贈を行う

遺言で法定相続人以外の人にも財産を譲る方法です。自分のために尽くしてくれたが相続権のない親族であっても、遺言書でその人に無償譲渡する旨を明記すれば、財産の譲渡が可能です。

 

もちろん、親族以外の友人・知人・内縁のパートナーへの遺贈も認められます。本制度を利用すれば、自分が亡くなった後に貢献してくれた方々へお礼ができるはずです。

 

特別寄与料の計算方法・相場を解説。上限額はあるのか

特別寄与料はいくらでも請求して良いわけではなく、被相続人が残した財産から、まず受贈者が遺贈を受け、その残った金額が上限額となります(民法第1050条第4項)。この上限額を超えなければ、特別寄与料を請求したい相続人以外の親族は相続人と話し合い、自由に特別寄与料の金額を決めても構いません。

 

ただし、一般的には次のような方法で計算しています。

 

被相続人の療養看護に寄与した(療養看護型)

療養看護型の場合は「介護日数×介護報酬相当額×裁量割合」で計算するのが一般的です。

 

介護報酬相当額は概ね1日5,000円〜8,000円程度といわれており、裁量割合は0.5〜0.9を乗じますが、0.7を採用するケースが多いです。

 

具体例をあげて計算してみましょう。

 

・介護日数:200日

・介護報酬相当額:1日6,000円

・裁量割合:0.7

 

200日×6,000円×0.7=840,000円

 

特別寄与料は84万円となります。

 

被相続人の事業に寄与した(家業従事型)

家業従事型の場合は「特別寄与者が通常得られたであろう給与額×(1−生活費控除割合)×寄与期間」で計算するのが一般的です。

 

特別寄与者が通常得られたであろう給与額は、基本的に国の統計資料、賃金センサスの平均賃金等を参考にします。また、生活費控除割合は、生前に被相続人から生活費相当額を受け取っていた割合です。

 

具体例をあげて計算してみましょう。

 

・特別寄与者が通常得られたであろう給与額:25万円(月収)×12ヵ月=300万円

・生活費控除割合:0.2

・寄与期間:2年

 

300万円×(1−0.2)×2年=4,800,000円

 

特別寄与料は480万円となります。

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