米ドル/円は再び「1ドル151円」へ?…“歴史的円安”が始まった1年前との共通点・相違点【国際金融アナリストが解説】

7月25日~31日の「FX投資戦略ポイント」

米ドル/円は再び「1ドル151円」へ?…“歴史的円安”が始まった1年前との共通点・相違点【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

足元の米ドル/円について、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「米ドル高値を更新した1年前とほぼ同じ動きをみせている」といいます。米ドル/円は昨年と同様、151円を目指してさらなる円安が進むのでしょうか。1年前と足元の米ドル/円の共通点・相違点から吉田氏が考察します。

7月25日~31日「FX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

・先週の米ドル/円は前週から一変、米ドル高・円安へ大きく戻す展開となった。とくに、7月末予定の日銀金融政策決定会合を巡る思惑の影響が大きかっただろう。

・1年前も、今回と同様に7月にかけて急落した米ドル/円だったが、8月以降は米ドル高値更新に向かった。ただ1年前と最近では違いもあり、この間の米ドル高値更新には至らないと予想。

・以上を踏まえると、米ドル/円の反発は限られ、今週は138~144円中心での展開を想定したい。

先週の振り返り…前週から一変、米ドル急反発!

先週の米ドル/円は、前週から一転、米ドル高・円安へ大きく戻す展開となりました(図表1参照)。今週予定されている米国の金融政策を決める会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げへの警戒が「米金利上昇=米ドル高」をもたらしたこととともに、28日予定の日銀金融政策決定会合では、金利上昇阻止策の見直しが見送られるとの見方が広がり、「円金利上昇=円高」の修正が入ったためでしょう。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年5月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

ところで、こんなふうに7月に入り急落した米ドル/円でしたが、すぐに切り返し、8月以降はそれまでの米ドル高値更新に向かったのが1年前のことでした(図表2参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円の推移(2022年4~12月) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

一本調子で展開してきた米ドル高・円安が、7月に入り大きく米ドル安・円高へ揺り戻しが起こったところまでのプライスパターンは1年前とほぼ同じでした。

 

この先も似たプライスパターンが続くなら、先週の米ドル/円反発は、この間の米ドル高値の145円更新に向かう動きということになりますが、果たしてどうでしょうか。

 

1年前のプライスパターンとの相違点

これまでのプライスパターンは、1年前とある程度似ています。ただその一方で、1年前と足元ではいくつかの顕著な違いもあります。そのひとつが、米ドル買い・円売りのポジションでしょう。

 

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、足元で9万枚を売り越しています。

 

円売り超しは1週間で比較的大きく縮小しました(図表3参照)。これは、6月末の145円から、一時137円割れ近くまで米ドル/円急落となったなかで、大幅に米ドル買い・円売りに傾斜していたポジションの調整が入ったためと考えられます。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2021年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

それにしても、このデータで見る限り、円の売り越しは、なお1年前よりは高水準となっています。その意味では、1年前に比べると米ドル買い・円売りの再拡大に伴う米ドル高・円安の再燃は限られる可能性があるのではないでしょうか。

 

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