(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の病気として代表的な「がん」。再発・転移などで長くがん治療を続けていると、どこかのタイミングで「もうこれ以上治療手段がない」と主治医からつらい宣告をされることがあります。そんなとき、自由診療による「先端医療」という選択肢が考えられるかもしれません。しかし、先端医療を選ぶ際には知っておくべき注意点があると、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏はいいます。本記事では、塚田京子さん(仮名)の事例とともに、がん治療から老後破産を招かないための対策を、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。

「がん治療」から「老後破産」を招かないために

がんは日本人の国民病ともいわれますが、毎年約100万人が新たにがんと診断されています。このような状況下では、老後の備えを考えるにあたり、がんへの備えの検討も欠かせないもののひとつといえます。

 

老後やがんへの備えには、多くの方が「お金を貯めておく」と考えるのではないでしょうか。もちろんとても大切なことだと思います。しかし、お金が潤沢にあっても不安はすべて解消できません。今回の事例を通じ、お金だけで老後の不安のすべては解決しないことがわかります。

 

老後の不安に多くの方が、医療や介護など健康上の不安をあげています。これに対して経済的な備えとともに、日本のがん治療のルールや国の方針など、医療に関する基礎知識を蓄えることも必須であるといえます。がんで老後破産を招かないために、現役時代から行うべきことは2つあります。

 

1.最新医療情報の獲得し、適切な資産計画をする

がん治療最前線は、日進月歩で変化しています。がんはまだまだわからないことも多く、新しい治療や薬の研究開発が世界中で行われているので、今後もその流れは変わらないと考えられます。

 

また、それに応じて国のがん対策の基本方針や健康保険制度などの変更が行われていきます。つまり、日本でがんになったときに、どのような治療の選択肢があり、それに対してどのような選択が適切か、そしてその選択をとった際にどの程度の経済的負担が生じるか――これらについて最新情報を持っておくべきです。

 

そして、情報は常に変化していくため、最新情報をどこから収集するか、情報の出どころを知ることも必要になります。適切な情報があるからこそ、

 

どの程度の余裕資金を蓄えておく必要があるか? 

がん保険などでの備えが必要かどうか? 

 

こういったことを算出することが可能になります。

 

また今回の事例のように、持っている貯蓄をすべてがんの自由診療に費やしてしまうと、その他ほかのアクシデントに対する備えが無くなります。資産を適切に管理しながら出費を判断していくスキルを現役時代から身につけていくことが重要です。

 

2.早めのサポーターの確保

先述のとおり、がんの自由診療などで老後破産を招かない、適切な老後の備えをするためには、

 

・適切な情報
・資産管理のスキル

 

が必要です。もちろんお金も必要ですが、使い方を学んでなければ気分や感情で浪費してしまい、最終的に破産リスクを招きます。

 

では、その情報とスキルを得るためにどうしたらよいか。もちろん自分で学ぶということがベースとなると思います。プロにお任せというだけでは、やはり今回のような事例を引き起こす可能性があります。

 

ただ一方で、すべてを自分で学ぶとなると、必要な情報とスキルは多岐にわたるため、大変難しいでしょう。そのため、早いうちから相談できる人(場所)を確保することも重要です。今回のような事例に対する専門家としてはがんや医療への備えを専門とするファイナンシャルプランナー(FP)やがんに詳しい保険担当者などが選択肢としてあげられます。

 

なにか専門的なことを相談したいと思っても、誰に相談できるのか?がわからないことも少なくありません。選択肢を知っておくことも実は大切です。

 

高齢者の社会的孤立が懸念される時代ですが、今回の事例の塚田さんには、相談できる人がいなかったという点もひとつ重要なポイントでした。30代、40代の若いうちから、必要な情報とスキルを学びながら老後資金を築いていく、そのために気軽に相談できるサポーターを早めに確保しておきましょう。

 

 

谷藤 淳一

株式会社ライフヴィジョン

代表取締役

 

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