日経平均プット・オプション建玉増加が示すもの
もうひとつ、「?」と思える話がある。最近、日経平均・指数オプション市場で行使価格3万円のプット・オプションの建玉が急増していることを受けて、3万円割れに備える不安心理が台頭していることの表れであるという指摘が見られるが、それも事象の片側しかとらえていない見方である。
プット・オプションというのは「売る権利」だから、下落に備えたリスクヘッジ、保険として買われることが多い。行使価格3万円のプット・オプションの建玉が急増しているのは、確かにそうしたニーズが反映されての結果だろう。
しかし、これも百万回くらい、言ったり書いたりしていることだが、商いが成立するのは売りと買いが見合うからである。プットを買いたい人が大勢いて、ある行使価格の建玉が増えるということは、当たり前だが、売りたい人も同じくらい大勢いるということである。そうでなければ商いが成立しない。
行使価格3万円のプット・オプションを買う人は、日経平均が3万円を割る場合に備えて保険をかけているのかもしれない。そういう人が大勢いるに違いない。では行使価格3万円のプット・オプションを売る人はどういう人か? 日経平均が3万円を割ることなどないというシナリオに賭けて、弱気筋の保険を引き受けようという人だ。その人たちも、また大勢いるのだということを見逃してはならない。
There are 3 sides to every story. Yours, mine and the truth.
(どんな話にも3つの側面がある。あなたのもの、私のもの、そして真実)
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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