(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、日本各地で、初夏から秋にかけて集中豪雨の被害が相次ぎ、激甚化しています。地球温暖化の影響とされ、今後も長期的に続くとみられているので、被害に遭ったときのための備えが重要です。そこで、集中豪雨等により自宅が被災した場合に、建て替えや補修にかかるお金をどこまで公的補償でまかなえるのか、「被災者生活再建支援制度」と「住宅の応急修理」の2つの給付の制度を中心に、融資の制度にも触れながら解説します。

家が損壊したら「支援金」が受け取れる「被災者生活再建支援制度」

まず、家が損壊した場合については「被災者生活再建支援制度」に基づく支援金があります。

 

国が基準にしたがって制度の適用の決定をし、その地域の住民である被災者が、市町村に対して支援金の受給申請を行います。

 

暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の「異常な自然現象により生ずる被害」によって家が「全壊」または「半壊」の状態になった場合に、支援金を受け取れるものです。

 

対象となる損壊の程度は、基本的に、損害割合が30%台の「中規模半壊」以上の場合です。

 

支援金は「基礎支援金」と「加算支援金」の2種類になっています。両者の違いは以下の通りです。

【基礎支援金と加算支援金】

・基礎支援金:被害の程度に応じて支給

・加算支援金:住宅の再建・補修の態様に応じて支給

 

それぞれについて説明します。

 

◆基礎支援金

まず、「基礎支援金」は「全壊等」(損害割合50%以上)、「大規模半壊等」(損害割合40%台)の場合に支給されます。「中規模半壊」(損害割合30%台)の場合は支給されません。限度額は以下の通りです。

 

【基礎支援金の限度額】

・全壊等(損害割合50%以上):100万円(単身世帯は75万円)

・大規模半壊(損害割合40%台):50万円(単身世帯は37.5万円)

 

「全壊等」は、損害割合50%以上の場合に加え、それと実質的に同視できる以下の2つのケースも含まれます。

 

【「全壊等」に含まれるもの】

・倒壊防止や居住のための補修費用が著しく高額になるなど、やむを得ない事情により、住宅を解体せざるをえなくなった場合(解体世帯)

・危険な状況が継続し、長期にわたり住宅が居住不能になった場合(長期避難世帯)

 

◆加算支援金

次に、住宅の再建・補修等の態様に応じて、「加算支援金」が支給されます。限度額は以下の通りです。

 

【全壊等・大規模半壊】

・建築・購入:200万円(単身世帯は150万円)

・補修:100万円(単身世帯は75万円)

・賃貸(公営住宅以外):50万円(単身世帯は37.5万円)

 

【中規模半壊】

・建築・購入:100万円(単身世帯は75万円)

・補修:50万円(単身世帯は37.5万円)

・賃貸(公営住宅以外):25万円(単身世帯は17.5万円)

 

住宅の応急修理の制度

次に、住宅の応急修理の制度です。これは「半壊」状態で、そのままでは居住できないが、応急修理をすれば居住できる状態になる場合が対象です。

 

もし、修理費用を負担する資力がなければ、災害救助法に基づき、市町村の費用負担によって応急的に修理をしてもらうことができます。

 

あくまでも、居住できるようにするための最低限の応急修理なので、修理してもらえる箇所は、以下の通り、日常生活に必要最小限度の部分に限られます。

 

【応急修理の対象となる部分】

・居室、台所、トイレ等、日常生活に必要最小限度の部分

・屋根、外壁、柱、床、基礎等

・ドア・窓等の開口部

・上下水道、電気、ガス等の配管・配線

・衛生設備

 

また、この制度はあくまでも居住し続けることが前提ですので、応急仮設住宅に居住する場合は、利用することはできません。

 

限度額は以下の通りです。

 

【住宅の応急修理の限度額】

・半壊・大規模半壊:65.5万円

・準半壊(損害割合10%以上20%未満):31.8万円

 

修理工事の契約は被災者と修理業者との間で結ばれますが、修理費用は自治体から修理業者に直接支払われます。

 

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