女性が求める男性の収入とは?
「勤め先で知り合って10年、何度もくっついたり離れたりしていましたが、30代半ばの彼女はとうとう、別の人と結婚することになりました」
非正規社員として働く40代の男性は力なく笑う。
「子どもがほしいといっていた彼女が、しびれを切らした格好です。転職などを試みましたが、何社受けてもだめでした」
「もう仕方がありません。これから先は、ひとりで生きていきますよ」
男性の月収は状況によって変わるが、だいたい20万円台後半だという。共働きならなんとかなっても、子どもが生まれるとなると、女性は一時的にしろ、仕事を離れなければならない。預貯金も少なく、給料も少なく、おまけに雇用が不安定となれば、女性が結婚や出産をためらうのは、厳しいようだが、ある意味当然だ。
結婚とお金の問題は、だれがなんといおうと、切っても切れない関係にある。
明治安田総合研究所が全国18歳~54歳の男女7,453人に行った「恋愛・結婚に関するアンケート調査」では、「結婚相手に求める条件」として、「話・価値観が合う」が42.0%と最多、「一緒にいて楽しい」が38.9%だった。だが、その次には「収入等の経済力」の29.5%がランクインしている。
男女別にみると、男性は3つ目の条件として「ルックス・見た目の印象」の34.9%が上がるが、女性の3つ目の条件は「収入等の経済力」が37.4%。令和のいまでも、男性が相手に選ばれるためには「収入」が重要なポイントとなる。
結婚への意向だが、未婚者の8割は「結婚したい※」と回答している。
※ 「すぐに結婚したい」「ゆくゆくは結婚したい」「いい人がいれば結婚したいが、無理はしたくない」の合計値。
だがその一方、「生涯未婚率が上昇している原因」を尋ねると、「結婚はあくまでも人生の選択肢のひとつである」が最多の46.0%、続いて「独身生活が気楽で自由、充実している」が43.5%。そして「収入がよくない」の40.4%、「雇用が不安定」の30.2%と続く。
ならば、女性が求める男性の収入はどのくらいか。
未婚者と離別・死別者に結婚相手に求める最低年収と貯蓄額を尋ねたところ、女性が男性に求める最低年収は平均で550.39万円、中央値は500万円。貯蓄額は平均763.79万円、中央値は500万円だった。
ちなみに、男性が求める女性の経済力は、年収で平均372.63万円、中央値で300万円、貯蓄は平均502.17万円、中央値で200万円だった。
非正規男性、女性が求める給与額をクリアするのはごくわずか
上記から、女性が男性に求める年収はおよそ500万円だとわかるが、では、これをクリアしている男性はどれぐらいか。
厚生労働省の調査によると、男性(平均年齢44.5歳)の平均月収は34.2万円、年収は554万円。これを見る限り、平均的な男性なら、女性が希望する条件をクリアしているように見える。
では、中央値ではどうか。年収500万円で、平均的な賞与額を手にしていると仮定すると、月収は33.3万円程度。だが、男性の月収の中央値は30.12万円だ。月収33.3万円をクリアしている男性は38~43%と、過半数を切ることがわかる。
男性・正社員(平均年齢43.5歳)の場合、平均月収は35.3万円、年収は579万円。給与分布をみると、男性・正社員、月収の中央値は31.2万円。月収33.3万円をクリアしている正社員は41~47%程度と、半分に満たない。
年齢でみると、月収33.3万円をクリアしているのは、30代前半では8~12%に過ぎない。30代後半で22~30%、40代前半で38~46%、40代後半で49~57%と、50歳手前でようやく女性の希望する年収に達するということになる。
では、非正規社員の場合はどうか。男性・非正規(平均年齢52.8歳)の平均月収は26.9万円、年収は353万円。給与分布でみていくと、男性・非正規社員、月収の中央値は21.8万円。月収33.3万円をクリアしている非正規男性はわずか15~18%。
年齢でみると、月収33.3万円をクリアしているのは30代前半で12~14%。30代後半で10~13%、40代前半で14~16%、40代後半で12~14%。
このことから、非正規社員の場合、年齢を重ねても給与はそれほど上がらず、女性が結婚相手として求める条件を満たす男性は、いずれの年代でも10%少々しかいない。つまり、非正規の立場では、女性に選んでもらいにくいということだ。
もちろん収入だけが結婚の条件ではないことは、アンケート結果からも明らかだ。しかしながら、問題解決に向けては「給与アップ」が重要なファクターとなることには変わりはないだろう。
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